デンソーは第18回ITS世界会議で、「環境に優しく、安全・安心で、わくわく感のあるクルマ社会」をテーマに、人・クルマ・社会を情報でつなぐITS関連技術を出展した。
会場でメインとなったのは、デンソーが考える10年後の近未来コックピットを表現したシミュレーターである。斬新なデザインは、そのままSF映画にも登場しそうな雰囲気たっぷり。右側に置かれたタッチセンサーでシミュレータを動作させると、起動音と共にセンターにあるキャラクターアイコンが様々な表情で迎えてくれる。頷いたり、首を振るかのような仕草をしたりと、何とも愛らしい。
しかし、このシミュレーターでは、各種センサーや路車・車々間通信を活用したクルマと障害物との接触事故の自立的回避をはじめ、ドライバーの嗜好を考慮したお店の情報を提案したりと、「クルマがこうなったらいいなぁ」と思われる趣向が随所に盛り込まれている。また、EVを想定して、走行中にワイヤレスで自動給電されていることを知らせる表示も行われる。
居眠り防止の新たな画像認識技術に紹介された。従来は瞼の動きなどで判断していたが、眠気が襲ってくると瞼だけでなく表情までも変化していくことを応用。これはある学説に基づいて開発が行われたもので、従来よりも高精度に判断ができるという。
ルートの選択をカメラで捉えた映像から、ユーザーに判断してもらう新コンセプトのルート探索技術も提案された。渋滞情報にはタイムラグがあったり、ドライバーにとっては具体性に欠ける面があったが、これだと実際の映像からドライバーが判断できる。日本では道路映像を個人で自由に楽しめることは考えにくいが、アメリカはこの映像の活用が許されており、ルート探索の新たな発想として注目できる。