【キャデラック SRXクロスオーバー 試乗】いわゆる“アメリカ車”とは違う…松下宏

試乗記 輸入車
SRXクロスオーバー
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アメリカでGMの再生を象徴するモデルとして人気を集めているキャデラック『SRXクロスオーバー』は、2010年8月フルモデルチェンジで単に「SRX」から「SRXクロスオーバー」へと名前を変えた。というのも、2代目モデルはプラットホームを変更し、ボディやエンジンをダウンサイジングするなど、大幅な変更が行われたからだ。

GMがアーキテクチャーと呼ぶプラットホームも、従来は『CTS』などと同じシグマだったのがシータに変わり、これに伴って駆動方式もFRベースの4WDからFFベースの4WDに変更された。

ボディは全幅だけが拡大されて1910mmに達したが、全長や全高、ホイールベースも短くなってひと回り小さくなった。これに伴って3列目のシートがなくなって2列シート車になった。エンジンも従来はV型8気筒4.6リットルとV型6気筒3.6リットルを搭載していたが、V型6気筒3.0リットルのみに変わった。今どきのクルマとしては珍しいくらいの大胆なダウンサイジングである。

とはいえ、全幅が拡大され、キャデラックグリルなどの力強いデザインが採用されているので、上級SUVらしさにあふれた外観を備えている。インテリア回りの仕上げも、アメリカ車ではなくキャデラックという感じで、質感の高さや作り込みの良さが感じられる。キャデラックだけはいわゆるアメリカ車とは違う、というのがSRXクロスオーバーでも良く分かる。

ボディやエンジンが小さくなった割には重量が2tを超えていてあまり軽くなっていないのは、装備や仕様が向上しているためだ。なのにV型6気筒3.0リットルで間に合うかと思ったら、これがけっこう良く走る。

動力性能はかつてのV8ノーススターほどの実力はないが、従来の3.6リットルのV6に比べたら、パワーでは上回っているので、重量級のボディを力強く前進させていく。排気量が小さくなった分だけトルク感に関しては物足りなさもあるが、吹き上がりの良さを合わせると全体的には不満のない仕上がりだ。6速ATの変速フィールにも不満はない。

ラグジュアリーとプレミアムの2グレードがあって、いずれも500万円台の価格設定。価格も従来のSRXに比べて安くなっていて、輸入車のプレミアムSUVの中では相当にお得感を感じさせるモデルになった。残念なのは左ハンドル車しか作られていないことか。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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