燃料電池車、2025年に105.8万台・2.1兆円市場…富士経済予測

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富士経済は、日本とアジア、北米、欧州の計11か国の燃料電池車、家庭用燃料電池など5分野の市場調査を実施し、結果を報告書「2011年版燃料電池関連技術・市場の将来展望(上巻)」にまとめた。

調査結果によると、燃料電池車は、先進国の大手自動車メーカーで開発が進められており、2015年に商品化される見通し。水素ステーションの整備、大手自動車メーカーの存在などを背景に日本、アメリカ、ドイツで市場が拡大すると見られ、2025年までは日本が最大の市場となると予測する。

中国の燃料電池車開発は、実用レベルの技術力では進んでいると分析。今後は自動車の環境対策に注力すると見られ、燃料電池車の導入は2020年以降、世界的なハイブリッドカーや電気自動車の低コスト化の後になると予測。将来的に燃料電池車でも世界一の市場になる可能性がある、と指摘する。

燃料電池車の世界市場規模は、2010年が56億円、185台だが、2025年に105万8000台にまで成長し、市場規模は2兆1000億円を予想する。

日本は商用化初期の市場拡大で世界の中心的な存在になると予測、2015年の販売台数では世界トップになると予想。トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車の国内メーカー3社が今後数年内に市販車を発表すると見る。

韓国では、現代自動車が2015年に販売を開始する。中国では、国家研究機関を中心に自動車メーカー、大学で技術開発が進められており、上海万博の実証走行車は100台規模となり、技術力が実用レベルにある。急増する自動車による環境悪化と産業育成の両面からハイブリッドカーなどのエコカー技術に注力する政策を優先しており、燃料電池車の市場拡大は2020年以降、本格化すると予測する。

米国では、米国エネルギー省の燃料電池車の運転実証やカリフォルニア州独自のカリフォルニア燃料電池パートナーシップなどのプログラムがあり、世界の自動車メーカーも参加している。ただ、GM、フォードが燃料電池車よりも、より実用的なハイブリッドカーや電気自動車を優先する動きが見られることから、市場拡大が進まない可能性もある。燃料電池車の輸入も米国内メーカーによる生産・販売が軌道に乗った段階で増加すると予測する。

ドイツでは長期開発計画としてNIP(水素・燃料電池技術国家技術革新プログラム)に基づいて開発が進められている。政府主導で燃料電池車の実証走行と水素ステーション整備が進んでおり、2015年の商用化を目指している。

ダイムラーは2010年に燃料電池車の限定量産計画を発表しており、水素ステーション整備が進む欧州、北米に投入される予定。

世界の燃料電池車の普及拡大には、各国の自動車市場、水素ステーション整備などの条件が揃うことが必要で、特に水素ステーションは政策的な面が大きい。これまで、世界で建設された水素ステーションは実証研究用を中心に200か所以上。うち米国がもっとも多く次いで、ドイツ、日本の順になると見られ、カナダや韓国も積極的に取り組んでいる。

燃料電池車の普及を見越した水素ステーション整備が、結果的に燃料電池車の普及を後押しする。

《レスポンス編集部》

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