【トップインタビュー】カーコンブランド展開、上場、アジアへ…カーコンビニ倶楽部 林成治社長

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林 成治 代表取締役社長
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2011年1月21日、カーコンビニ倶楽部は、プロミスグループからの独立を正式に発表した。

独立と時を同じくしてカーコンビニ倶楽部の新社長に就任した林成治氏は、消費者金融のプロミスで営業畑を歩んできた経歴を持つ。2007年にカーコンビニ倶楽部がプロミスグループ傘下に入った後、林成治氏は2008年10月から10か月ほど、カーコンビニ倶楽部の社長に就いている。

その後、プロミスのグループ会社役員などを歴任、このたびプロミスグループを退社した林氏個人がカーコンビニ倶楽部を買い取る形で独立、今度はオーナーとして再び社長に就任した。

---プロミス傘下でも指揮を執っていた林社長ですが、今回はどのような経緯でカーコンビニ倶楽部を買い取ると決めたのでしょうか。

林:カーコンビニ倶楽部は、軽板金補修のフランチャイズ(FC)展開が主力事業です。それはプロミスの傘下になる前から、今に至るまで変わりはありません。一方、親会社であったプロミスは、店舗での新車中古車の自動車販売を強化することによるオートクレジット事業の拡大を期待してカーコンビニ倶楽部を傘下におさめました。この点に乖離がありました。プロミスグループになったものの、FC各店舗は、すでに軽板金補修事業を展開しており、自動車販売にはなかなか力を入れられなかったのです。親会社の期待とFCの方向性に食い違いがあり、プロミスグループとしては想定していた相乗効果が得られないと判断し、カーコンビニ倶楽部をグループからの切り離すことになりました。私は、カーコンビニ倶楽部の赤字の原因が親会社からのオートクレジット事業の無理強いであると分析し、圧倒的なブランド力を持つ業界唯一の存在であることを考えればまだまだ成長が望めると確信して、親近者の資金によりカーコンビニ倶楽部を自ら買い取ることを決めました。

---独立経営となるカーコンビニ倶楽部ですが、どのようなことを念頭において経営に携わっていくのでしょうか。

林:プロミス時代に学んだのは、部下との信頼関係の大切さです。これをカーコンビニ倶楽部に置き換えると、FC各店舗との信頼関係を強化することが大事になります。FC各店舗による軽板金補修という主力事業の形態は確立しているのですから、主力事業の基盤強化と、ブランド力を生かした新規事業の展開が今後の主な取り組みになります。

業務提携で「カーコン○○」を増やす

---ブランド力の活用、向上に向けての施策は。

林:以前携わっていた金融業界で利用されている手法なのですが、メガバンクのブランドを使った消費者金融事業があります。メガバンクのネームバリユーを生かしてサービスに信頼性を持たせ、顧客を集める手法です。我々も認知度が高い「カーコン」ブランドを生かしたロイヤリティビジネスの拡大を目指します。

---ブランド力を生かした新規事業への取り組みの進捗はいかがですか。

林:カーコンビニ倶楽部ブランドの活用はすでに結果に結びついています。ヤマト車検をカーコン車検に改めたことは、ブランド力が事業の発展につながっている典型です。ヤマト車検ブランドでは、数年かかって180店舗に拡げるのが精一杯でしたが、2010年4月にカーコン車検にブランド名を変えたところ、現在のところ280店舗まで拡大しています。

---車検だけでなく「カーコン○○」を多角的に増やしていくということですか。

林:ヤマト車検は自社事業ですが、今後は自動車周りの事業展開をしている他社と提携をすることで、カーコンブランドのサービスを増やそうと考えています。初期投資が必要なく、ブランドを活用する側もされる側も、事業の活性化が見込めます。すでに他業種企業との業務提携などに向けた動きは始まっています。将来的には「カーコン○○」のメニューを増やし文字通り“自動車サービスのコンビニ”を目指します。

◆上場で資金調達しアジアへ進出

---主力の軽板金事業や車検事業に新たな取り組みはありますか。

林:国内の自動車保有台数は頭打ちになっていますが、安全面に関しては成長の余地は十分にあると考えています。自動車の安全状態を確認するツールとして故障診断機(スキャンツール)の利用・普及はポイントになります。これに関連して、ABS、エアバッグの点検を含めた車検項目の見直しなども課題になっていますが、ここに新しい需要、ビジネス構築の可能性があります。まずは現場でお客様に「チェックしておきましょう」と一言声をかけることが大切ですね。

---他にも成長分野はありますか。

林:海外には魅力的な成長市場が多く存在します。そのため、当社としても海外への展開を行います。中国やタイをはじめとする東南アジアなどは、自動車の台数が増え、新車ディーラーが整備され、補修業務は專門業者が行う、という日本と同じ構造が出来つつあります。業者は、工賃のおよそ3割をディーラーに支払わなければならないなどの制約があり、補修代金が割高になります。これら専門業者をカーコンビニ倶楽部店舗にすることで、直接、安く、安心して補修を任せてもらえるお店になるはずです。

---しかし海外では「カーコンビニ倶楽部」のブランドは通用しないのでは。

林:アジアでは日本のナンバーワンブランドに対するリスペクトや憧れがあるようです。日本の軽板金補修におけるナンバーワンブランドだと知ってもらえば、信頼度は高まります。最初は現地資本との合弁で第1号店舗となる直営店を設けて成功モデルをつくり、FC展開の元にします。その後は日本で展開しているようにFC店舗を増やしていく。ノウハウは日本で蓄積したものを応用します。

---今後何年くらいで海外展開を実現する計画なのでしょうか。

林:5年以内には進出から次のステップに移っているようなイメージです。海外進出にあたっての信用面、資金面から上場も必要と考えています。

(インタビュアー:レスポンス編集長 三浦和也 文責:土屋篤司)

《レスポンス編集部》

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