トヨタのグローバル戦略の中核を担うコンパクトモデル、新型『ヴィッツ』(12月22日発表)。旧型モデルがデビューしたのは2005年2月。自動車メーカーの本音としては、利幅の薄いコンパクトカーについてはモデルレンジを7年前後取りたいところだ。
が、近年はコンパクトカーをめぐる競争が世界的に激化競争が激しく、モデルチェンジが早まる傾向にある。新型ヴィッツもその例にもれず、6年足らずで新型に切り替えとなった。
トヨタは大型のプレステージサルーンからコンパクト、またミニバンやSUVと、多くのカテゴリーで販売トップのモデルを有している。そのトヨタには珍しく、ヴィッツは挑戦者側のモデル。それだけに“チェンジ”の幅も大胆なものとなっている。
フルモデルチェンジの大目標のひとつは、居住空間と荷室スペースの拡大だ。2代目にあたる旧型モデルも、デビュー当初は初代に比べて室内を大幅に広げていたことをセールスポイントとしていた。が、その後、国内ではコンパクト首位のホンダ『フィット』、海外ではフォルクスワーゲン『ポロ』など、ライバルモデルの進境が著しく、あっという間に優位性を保てなくなった。
新型ヴィッツのクルマづくりの方向性を見る役割を担う製品主幹の一人、菅野伸介氏は「室内空間の拡大は、最も重要なテーマでした。いちばん大きく変わったのは、欧州でとくに重要視される荷室で、旧型より奥行きを145mm広げました。室内についても前席のシートバックを薄型のものにするなどして、後席のひざ元空間を前後35mm拡大しました。スペース面では現行フィットとほぼ同等の数値を達成しています」と、スペース拡大による商品力アップについて自信を示す。
ボディ全長を3885mmと旧モデルより135mm延長。ホイールベースも2510mmと、Bセグメント(ハッチバックでおおむね全長3.6〜4mのコンパクトカー)の中では最大級となるなど、よりグローバルコンパクトとしての性格付けが強まった新型ヴィッツ。小家族ならば“これ一台”ですむユーティリティを備えていると言える。