自宅に充電設備を用意できる人がどれだけ増えるか? プラグインHVもEVも、未来はそこにかかっている。
三菱『i-MiEV』でこんな経験をした。フル充電から60kmほど走り、電池残量が半分のところで80%急速充電。社会実験として助成されるおかげで支払はゼロだったが、伝票には694円の文字。急速充電で増えた航続距離は約70kmで、ざっと10円/kmの計算だ。これでは低燃費ガソリン車より高くつく。EVは自宅で充電するのが基本。プラグインHVは出先で充電しなくてよいのが売りだから、なおさらだ。
車庫付き一戸建てにお住まいならともかく、集合住宅の住人や自宅の外に駐車場を借りている人にとって、「自宅で充電」のハードルは高い。EVやプラグインHVがクルマの主流になるとは予想しにくいのが現実だろう。
それを前提に『プリウスPHV』と『リーフ』を比較すれば、当面は「自己表現力」でリーフが優位かな、と思う。プリウスのヒット要因のひとつは、ひと目でハイブリッドだとわかるデザイン。リーフも、「私はいち早くEVを選びました」と自己表現できる。「ガソリン車とあまり違わない」と言われがちなリーフのデザインだが、いやいや、路上に出ればかなり目立つはずだ。
プリウスPHVは距離と速度域の両面でEV走行できる範囲が広がっており、それを楽しむ自己満足度はおそらく高いだろう。それはプロトタイプの試乗でも実感できた。でも、エコ・トレンドが吹くなか、あえてエキストラのコストを負担して最先端のエコカーに乗るとなれば、自己満足より自己表現を求めたくなるのが人情。そもそもトレンドとはそういうものだ。誰も気付いてくれないようなものはトレンドにはならないのだからね。