シリーズ終盤を迎えている「全日本選手権フォーミュラ・ニッポン」は、10月16〜17日に大分県・オートポリスで第6戦を開催。
50周、約230kmのレースを制したのはアンドレ・ロッテラー(トムス・トヨタ)で、とうとう今シーズンは6戦して6人のウイナー誕生という、極めて珍しい事態となった。
前日の予選に続いて、決勝の幕開けも“大荒れ”。4番グリッドから好ダッシュして中央を突いたのはロイック・デュバル(ダンディライアン・ホンダ)だったが、平手晃平(インパル・トヨタ)、石浦宏明(チームルマン・トヨタ)らと交錯するかたちになり、多重クラッシュが発生。
ここでデュバル、伊沢拓也(ダンディライアン)、井出有治(ムゲン・ホンダ)、さらにはポール発進の大嶋和也(トムス)の計4台が戦線離脱。
今回は「タイヤ交換義務あり」なのだが、スタート直後の事故によりセーフティカーが入ると、何台かのマシンがピットに滑り込み、ここでタイヤ交換と給油をして実質的なノーピット作戦に出ることとなった。セーフティカーラン5周の間に、6台がピットへ。
のちのちピットインしなければならない5台が上位半分、実質ノーピット狙い組の6台が後ろ半分という形勢になった。
作戦的な軍配は実質ノーピット狙い組に上がり、首位攻防はロッテラー対ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(インパル・トヨタ)に。ともに1周目にピットインしたが、その時ロッテラーはリヤ2輪のみを交換、オリベイラは4輪全部を交換していた。
「(結果的に)4輪交換はベストではなかった」と言うオリベイラは、ロッテラーをつかまえることができず、「オリベイラの速さを探りつつ、レースをコントロールできた」と語るロッテラーがシーズン初優勝。
前日の予選では不名誉な役回りを演じることになってしまったロッテラーだが、「だからといって気合いが入ったりはしない。プロフェッショナルなレーシングドライバーというのは、常に高いモチベーションでレースに臨むものだからね。ただ、ナイスなリベンジにはなったと思う」と、喜びを語った。
3位には、最初の接触による損傷を「メカニックがアームを引っ張って応急処置してくれた」と言う石浦が入り、ポイントリーダーだった小暮卓史(ナカジマ・ホンダ)はステアリング関連のパーツが壊れてリタイア。
これでドライバーズチャンピオン争いはオリベイラとロッテラーが36点で並び、小暮(31点)、デュバル(28点)、平手(24点)、大嶋(21点)までチャンスが残った状態で、11月6〜7日に三重県・鈴鹿サーキットで開催される、今季シリーズ戦では唯一の2レース制大会=最終戦を迎えることとなった。