『XV』とはクロスオーバー・ビークルの略。黒い樹脂製オーバーフェンダーやルーフレールが「気分」を盛り上げてくれるが、最低地上高やタイヤサイズは普通のインプレッサと同じ。
エンジニアに聞くと、中国向けやロシア向けのXVは車高を上げ、ワンサイズ大きなタイヤを履くという。しかし道路の舗装が行き届いた日本を含む先進国では、車高を上げても重心が高くなるだけでユーザーにメリットがないと判断したそうだ。
正論だとは思うが、ちょっぴり物足りない。オーバーフェンダーのボリューム感とのバランスをとるには、タイヤはもう少し大きくしたいところ。30mmでも車高を上げれば、ウインドウ越しの景色もちょっと違って見えてくるだろう。
ま、これらも「気分」の問題なんだけどね。クロスオーバーはそもそも「なんちゃってSUV」であり、見て乗ってアクティブな気分になれることが大事。ボディのスタイリングだけでなく、タイヤサイズや視界感でも気分を盛り上げてほしかった。性能を犠牲にしてまでそれをやらないマジメさがスバルらしいというのは、もちろん承知の上なのだが……。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
千葉匠│デザインジャーナリスト
1954年東京生まれ。千葉大学で工業デザインを専攻。商用車メーカーのデザイナー、カーデザイン専門誌の編集部を経て88年からフリーランスのデザイン ジャーナリスト。COTY選考委員、Auto Color Award 審査委員長、東海大学非常勤講師、AJAJ理事。