自動車メーカーが鉄道で5250tのCO2削減…アウディの例

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DBシェンカーのエコプラス
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  • ジュールでの積み込み
  • ジュールで積み込まれた車両をインゴルシュタットで下ろす
アウディは1日より、同社主力工場であるインゴルシュタット工場で組み立てた車両を、「グリーン電力」を活用した鉄道を利用し、北海に面した輸出のハブ港、エムデンまで輸送している。

ここでのグリーン電力とは、再生可能なエネルギー源で発電した電力のこと。再生可能なエネルギー源なので、再生サイクルトータルではCO2を発生しない。インゴルシュタット〜エムデン間をこれで走ることより、年間5250tのCO2が削減されるという。輸送車両1台に換算すると35kg以上に相当する。

インゴルシュタット〜エムデン間は約750km、日本のJR在来線で東京〜岡山間に相当する距離だ。アウディ車を満載してこのルートをたどる貨物列車は1日3便、年間約15万台がエムデンに送られる。アウティの完成車の4台に1台がCO2フリーで出荷されることになった。

CO2を発生しない鉄道輸送コンセプト「エコプラス」は、ドイツ最大の鉄道会社、ドイツ鉄道(旧ドイツ国鉄)の物流部門、DBシェンカーが提案した。エコプラスでは、ドイツ国内の鉄道輸送に必要なエネルギーを、すべてドイツで作られた再生可能なエネルギーに置き換える。CO2フリーの鉄道貨物輸送は欧州では初の企画で、アウディがその最初の顧客となる。

従来型電力との差額はアウディが負担し、DBシェンカーはその一部を再生可能エネルギーの分野における各種プロジェクト推進に使用する。ドイツ国内において鉄道に使用される電力のうちグリーン電力が占める割合は現在18.5%となっている。

これまでもアウディは物流でエネルギー資源を効率的に活用しており、アウディが製造する車両の70%が貨物列車を使って出荷される。またフォルクスワーゲングループ内で使用する大型コンポーネントの多くも、鉄道によって輸送される。

アウディは、インゴルシュタット工場とハンガリー北部のジュール工場間、610kmの輸送にも鉄道を使用している。たとえばアウディ『TT』の塗装済みボディとパーツは、インゴルシュタットから密閉型の2階建て貨物列車でジュールまで運ばれ、そこで組み立てられる。

組み上がった車両は、運ばれてきた線路をインゴルシュタットまで戻される。ジュール工場ではアウディの各モデル向けにエンジンも組み立てられているが、同じルートでインゴルシュタット工場に輸送される。

最近12年間で、ジュールとインゴルシュタット間の線路をアウディの貨物列車が走った距離は延べ1000万kmに達する。トラックに換算すると32万5000回の走行に相当し、1年間で削減できたCO2排出量は3万6000tになる。オーストリアの鉄道システムにおいて水力発電がエネルギーとして高い割合を占めていることも、この数字に貢献している。

ちなみに日本での高速道路無料化社会実験によるCO2排出量の増減は、国土交通省の試算で年間25万tの削減、環境省の試算で年間33万tの増加となっている。
《高木啓》

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