プレミアムコンパクトというジャンル、歴史や文化に長けたヨーロッパ車にしかできない芸風だとあきらめていたけれど、ジュークを見たら「これって日本流プレミアムコンパクトでは?」と思えてきた。『マーチ』と同じクラスでありながら価格は約50万円高いのに、多くのユーザーが買っている。『ジューク』にプレミアム性があると認めた結果ではないだろうか。なにがプレミアムなのか。もちろんデザインだ。フェンダーの盛り上がりはBセグメントとはとても思えないし、顔つきの強烈さは『GT-R』にも負けていない。インテリアでは「チラ見せ感」をねらったペイント仕上げのセンタートンネルやドアトリムが効いている。世界を制したサブカルチャーに通じる、ちょっとミステリアスな遊び心にあふれている。太いタイヤを履いたシャシーはギリギリで帳尻を合わせているようで、乗り心地を粗くなる一歩手前で抑えつつ、落ち着いたハンドリングをモノにしている。それにしてはパワートレインがフツーすぎるけれど、あとで直噴ターボが出るそうだし、なによりもこのデザインを前にしたら細かい不満など吹っ飛んでしまう。今後の日本車が目指すべき道を示した1台といえるのではないだろうか。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★パワーソース:★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★★森口将之|モータージャーナリスト試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。