【三菱ふそう 新型パワートレイン】自社製デュアルクラッチトランスミッションに自信

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デュアルクラッチトランスミッション「DUONIC」
  • デュアルクラッチトランスミッション「DUONIC」
  • 新開発の3リットルターボディーゼルエンジン「4P10」
  • 次期キャンターは新型パワートレインを搭載して登場する

三菱ふそうトラック・バスが20日に発表した、小型トラック向け次世代パワートレインの大きな特徴のひとつに、商用車として世界で初めてDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み込んだことがある。

新パワートレインのうち、エンジン、尿素SCR(選択還元触媒)が社外製であるのに対し、商用車向けDCT「DUONIC(デュオニック)」は三菱ふそう社内で開発されたという。駆動系設計部長の川口能広氏はその仕上がりに自信を見せる。

「変速時のトルク抜けがゼロという点はトルコン式ATと同等。湿式多板クラッチを用いることでクラッチ交換を不必要とし、さらにクリープ現象のような微低速走行機能も持たせた。その利便性とMTのダイレクト感をあわせ持ち、燃費性能も高いデュオニックの競争力は高いと思う」(川口氏)

このデュオニックは、新型3リットルターボディーゼルのうち、最も高性能な最大トルク43.8kgmのバージョンにも組み合わせることができるという。コストについても、現行小型トラックモデル『キャンター』に搭載されているシングルクラッチAMT(機械式自動変速機)「INOMAT-II」に比べて低く抑えたと川口氏は主張する。

小型トラックは走行距離が数年で50万km、100万kmと延びる中・大型トラックに比べると、耐久性の要求レベルはずっと低い。が、それでもフルロードで6t前後もある車体を常時走らせるストレスは乗用車の比ではない。その小型トラックへのDCT搭載にいち早くこぎつけたことは、競争力強化に少なからず貢献するものと思われる。

一方、ダイムラーグループの他社モデルにこのデュオニックを展開するかという質問に対しては「可能性について検討はしている」(アイケ・ブーム副社長・開発本部長)と述べるにとどめた。ダイムラーにちょうどキャンターに相当するような小型トラックのモデルがないためで、流用は難しいとみられる。むしろ「ダイムラーグループ以外にも、世界のメーカーへの販売を図っていく」(竹島茂和・ライフサイクル・マネジメント本部長)と、外販に期待をにじませた。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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