【三菱ふそう 新型パワートレイン】高級スポーツカーも顔負けのメカニズム

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三菱ふそうが発表した新型ディーゼルエンジン「4P10型」は、フィアット・パワートレイン・テクノロジーズ社(FPT)との共同開発だが、基本的な構造はFPT社が欧州で様々な自動車メーカーに供給している「F1C型」と共有している。

このF1C型をベースに三菱ふそうが仕様変更などを具体的に指示してFPT社が設計変更、生産して三菱ふそうに供給しているのが4P10型なのである。

具体的な要求はエンジンのコンパクト化だと言う。コモンレール式でピエゾインジェクターを仕様しているのはF1C型も同様だが、カムカバーよりもインジェクターやパイプが突き出るデザインだったため、このあたりの設計変更が大きかったという。

ピエゾインジェクターは従来のソレノイド式と比べ高い応答性を誇るのが特徴で、1万分の5秒という間隔で噴射をコントロールすることができる。そのため1回の燃焼で複数回の噴射を可能にしており、4P10型では最大で5回のマルチ噴射を実現できた。これはピエゾインジェクターに合わせてコモンレールの燃圧を180MPa(1800気圧!)にまで高めた燃料系によるところも大きいようだ。

この燃焼マネージメントと大型EGRクーラー、排気後処理システムのブルーテックによって、ポスト新長期と言われるJP09の規制値よりもPM、NOxとも3割も低減しているという。これは今後ますます厳しくなる排気ガス規制、省燃費性についても高い将来性が望める

スイングアーム式のローラーロッカーアームとすることで高回転化を実現。このクラスでは驚異的な4200rpmのレブリミットを達成している。同時にタービンを可変ジオメトリーとして、低回転域からの立ち上がりと高回転域での効率低下を防ぐことにより、最大ブースト圧は従来より20%高い1.45バールを実現。幅広い領域で強力でフラットなトルク特性を実現した。

クランクシャフトの支持をラダーフレーム式とし、なおかつ積極的に肉抜きをすることで大幅に軽量化を果たしているエンジンについては、欧州の考え方として参考になった部分も大きいという。「コンロッドの大端部を斜めに分割式とすることでクランクシャフト径をより太くすることができるんですが、これはウチの生産設備では導入できない技術でした」と、小型エンジン設計部4P10担当マネージャーの諸口慶明氏は明かしてくれた。4P10型エンジンは、FPT社の工場で生産された後、三菱ふそうの工場で補機類などを装着してクルマに搭載されるようになる予定だと言う。

もちろん三菱ふそうの社内には、自社で一から開発したい思いもあったハズだ。「それでもエンジンが出来上がって、クルマに搭載して走らせ、テスト結果を見た時には、我々の判断は間違っていなかった、と思いました」とライフサイクル・マネジメント本部長の竹島茂和氏は語る。

三菱自動車工業とは別グループになってしまったこともあり共同開発ができない背景や、小型トラック専用のエンジンを必要とする状況から、今回のFPT社との共同開発を採った訳だが、完全に自社でゼロから新型エンジンを開発した場合と比べ、開発コストはほぼ半減できたらしい。

それにしても可変タービンやピエゾ直噴、ラダーフレーム式クランク支持にデュアルクラッチMTなど、高級スポーツカーも顔負けのメカニズムを搭載するのが次世代の小型トラックとは、筆者も少々驚かされた。

天然ガス車やハイブリッド車などは、ある意味乗用車よりも普及が進んでいる小型トラック業界だが、今回の新エンジンによってエンジンテクノロジーの分野においても一気に最先端のレベルへと到達した。日本の乗用車業界はPHV、EVがトレンドだが、使用環境が違うとはいえ、トラックに見習うべき部分も少なくなさそうだ。
《高根英幸》

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