国民新党の亀井静香郵政改革担当相が11日深夜、閣僚辞任を表明した。「郵政改革関連法案の成立は、同じ内容で、次期臨時国会の最優先改題とする」という民主党と確認書を交わすことで落着するかに見えた矢先のことだ。
郵政改革関連法案を今国会で可決させるかどうかは、7月の参院選日程に影響する重要課題だった。
菅内閣で再任された8日、金融庁で会見に臨んだ亀井氏は、辞任した小沢前幹事長をこう評した。
「あの人は、地位には恋々としない人ですからね、昔から。そういう点は、私と似ている」
国民新党と民主党の連立は維持。松下忠洋経済産業副大臣と長谷川憲正総務政務官は、引き続き閣内に止まる。
あえて辞任を迫られたわけでもない亀井氏だったが「代表である私は、今国会で成立させる約束を履行させられなかった責任をとる」と、降りてしまった。
鳩山・小沢辞任をきかっけに、民主党の支持率が急騰。弱気だった民主党はすっかり変わった。特に選挙を控えた参議院候補者を中心に、会期は延長せずに選挙に突入すべきという声が大勢を占めるようになった。
ある民主党関係者は「会期を延長すれば、野党は全力で攻勢をかけてくる。イラ菅と呼ばれた総理の悪い癖が出て言葉尻を取られるくらいなら、期待を受けてる間に一気に選挙をしないと」と、話した。
一方、亀井氏の郵政改革法成立にかける意欲は、並々ならぬものがある。
「審議時間が要る、要るというのなら、毎日やれば良いではないですか、徹夜だって良いよ、土・日だってやろうではないかと。そうでしょう。私みたいな怠け者が、ちゃんとやる、受けて立つと言っているのですからね」
8日の亀井氏のこの発言は、連立を組む民主党ではなく、野党に向けて投げかけられたものだった。
まさか菅首相が代表就任会見で語った「今国会で成立を期す」という連立の約束が、こうも簡単に反故にされるとは思っていなかっただろう。
民主党内には、こんな考え方もあった。
「限られた日程で綱渡りして郵政改革法の成立を強行するより、次期国会に回したほうがいい。郵政の支持はますます固くなり、その状態で衆院選に突入できる」
しかし、郵政改革の旗を振る国民新党にとっては、それでは済まない。亀井氏は辞任劇を演じることで、小党の存在感を示した。