【JNCAP】NASVA金澤理事長「必要な事業と訴える」

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JNCAP発表会_02
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今回の事業仕分けでは、独立行政法人をその対象にしているとはいえ、自動車アセスメントをターゲットにしたことについては「政府は何を考えているのか」と疑問を感じるのも事実だ。この点について自動車事故対策機構の金澤悟理事長に話を伺った。

----:自動車アセスメントが事業仕分けの対象になったことには疑問を感じるが

金澤:政府は自動車アセスメントをただちに止めろと言っているわけではなく、現状よりも効率的かつ低予算で実施できないかと言ってきている。

----:具体的には?

金澤:JNCAPのうち、現状で費用の大部分を占めているのが試験場のレンタル費用、もうひとつが車両調達費になるが、ターゲットになるのはこの部分と聞く。内示では「型式証明申請の実験と一緒にできないか」と打診された。

----:型式証明試験と一緒にすることの問題は?

金澤:多々ある。JNCAPの試験車両は「一般の方が入手できる車両」ということで市場から調達している。ディーラーへ行き、展示している車両を買って試験車とする。型式認定の試験で使うクルマはメーカーが提供するが、提供した車両だけに試験対策のスペシャルバージョンにしていない保証がない。現状、「そうしたことがない」という前提で試験を実施しているが…。

----:試験場そのものについては?

金澤:国交省の施設はあるが…機材が古い。JNCAPで基準としている速度が出せず、それを成し得るには車両牽引用のモーターを更新しなくてはならないが、その費用が億単位と聞いている。型式認定用の衝突速度と、国際的に実施しているNCAPの試験速度も異なる。JNCAPとして今まで同一基準でやってきたからこそ単純な比較もできるが、仮にこれを変えてしまったとしたなら、過去のデータが活かせなくなる。基準自体の変更ならまだしも、試験場の都合でそれは許されないでしょう。比較対象がなく、JARI施設の使用料が適切かどうかはなんともいえない。公平性を保つためにはメーカーさんの試験施設を使うわけにもいかない。

----:試験の実施主体を民間に移せと言われる可能性もあるが?

金澤:民間でJNCAPを受け継いでくれる組織があるのならば別に構わない。試験に利権があるわけでもないし、NASVAという組織として固執もしない。ただ、現実的にお金を出してくれるところはないと思う。「JAFにやらせろ」と言われるが、JAFさんも多額の費用は出せないでしょう。結局、これは独法である我々がやるしかない。

----:そのほか、どのようなことを言われると想定していますか?

金澤:現在は試験結果を無償提供しているが、これを「売れ」と言われるかも。諸外国では有償で提供しているところもあるので、考慮する必要はある。ただ、国の予算で運営している以上、有償となれば一般からの反感はあるでしょうから、メーカーに対してのみ有償という考え方もあるかもしない。

----:ありがとうございました。

金澤:我々はJNCAPが国民に対して必要な事業ということを淡々と訴えに行く。仕分け人とケンカしにいくわけではありませんから。あくまでも冷静に、理路整然と主張してきます。

《石田真一》

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