新税率は「本則」の2倍に
4月から自動車重量税がちょっぴり軽減された。民主党がマニフェスト(政権公約)の柱に掲げていた重量税、自動車取得税、ガソリン税などの暫定税率撤廃が見送られるなかで、重量税だけは少し色を付けた。まさに大山鳴動してネズミ1匹だ。
筆者は3月に車検を行った。2009年末までは、車検が4月だったらいいのに「もったいないな」とも思っていたが、結果的には与党が暫定税率撤廃の公約違反をしたことで、“損失”は軽微だった。
重量税の新税率は、登録車の自家用乗用車の場合、車両重量0.5tにつき年間5000円となった。昨年度までの暫定税率では6350円だったので21%の軽減だ。それでも本則税率は2500円なので、まだ2倍の負担を強いられている。また、軽自動車(重量に関係なく一律)は年間4400円から3800円となった。
継続車検時に納税するより具体的なケースで見てみよう。重量が1t超1.5t以下の小型乗用車の場合、車検時には2年分を支払うので5000円×3×2=3万円となる。昨年度までは3万7800円だったので、7800円の軽減だ。
◆HVは車検時に本則税率が適用される
一方で今年度からは、保有している車によって継続車検時も重量税の税額に差が出る仕組みとなった。税額は3つに区分される。まず、新車購入(初期登録)から18年に達していない車は新しい税率がそのまま適用される。18年を経過している場合は、昨年度までの暫定税率3万7800円(1.5t以下、2年分)となる。
もうひとつの区分は、ハイブリッド車(HV)やクリーンディーゼル車などの「次世代車」であり、本則税率が適用される。つまり、次世代車のみ暫定税率が撤廃されたわけだ。実際には旧型の『プリウス』などが該当する。
重量が1.5t以下のプリウスの場合、車検時(2年分)の税額は1万5000円となり、従来よりも2万2800円軽減される。これだと、「車検費用」が安くなったと実感できるだろう。通常、車検費用の見積もりは、重量税や自賠責保険も含まれた総額で提示されることが多いので、重量税が軽減されたことを留意しておいたほうがよい。
◆エコカー減税も新税率で計算
2009年4月から3年間の予定で始まった新車購入時の「エコカー減税」にも、重量税については新しい税率が適用される。HVや電気自動車などの「次世代車」は免税なので関係ないが、「75%減税」と「50%減税」の対象車については、昨年度より若干負担が軽減される。
重量1.5t以下の自家用乗用車だと新車購入時の重量税(3年分)は4万5000円。これが「75%減税」のエコカーだと1万1200円(昨年度までは1万4175円)になった。
道路特定財源として1971年に創設された重量税は、2009年度から一般財源となっており、創設の趣旨から逸脱した税制として残っている。
ならば、せめて暫定税率にという民主党の公約に期待したのだが、いま改めて政権党の詐欺行為に怒りがよみがえっている。