伊藤忠商事は19日、戸田工業と米国ミシガン州バトルクリークでリチウムイオン電池の主要部材である正極材の生産・販売を行う合弁会社を設立することで基本合意したと発表した。
両社は、正極材原料を生産するカナダオンタリオ州の戸田工業の子会社トダ・アドバンスド・マテリアルズ(TAM)を合弁会社化することでも合意した。
伊藤忠は、欧米市場でリチウムイオン電池を搭載した電気自動車(EV)やハイブリッドカーといった次世代環境自動車の普及が見込まれることから、戸田工業とリチウムイオン電池の最先端材料の新工場を米国に建設する。
新工場は2010年春に着工、2011年に操業を開始、米欧の電池メーカー向けに出荷する予定。総投資額は約7000万ドル(約70億円)。2015年までに段階的に生産規模を拡大し、電池正極材の生産能力をEV換算で年産8万台に相当する規模に増強すると同時に、次世代正極材開発も手がけていく。
戸田工業は日本、アジア、米国、EUのリチウムイオン電池メーカーに正極材を供給してきた。昨年米国エネルギー省(DOE)が米国再興・再投資法に基づいて発表した次世代プラグイン・ハイブリッド車、電気自動車、定置型大型電源に使用されるリチウムイオン電池とその高性能電池部品の製造業の育成のための助成プログラムに着目し、米国子会社を経由して申請、同年8月に3500万ドルの認可を取得、2月5日に正式契約を締結した。
伊藤忠は、米国でリチウムイオン電池事業の高い成長性を見込んでおり、戸田工業と共同で正極材生産事業に取り組む。米国に建設する工場は、戸田工業がカナダに保有しているTAMも合弁会社とすることで、米国・カナダ両国の事業を共同運営し、原料から正極材までの一貫製造体制を両社で整えるとしている。