新型三菱『RVR』の開発において、第一目標は燃費性能の向上であった。デザインにおいても空気抵抗の低減が求められ、大変苦労したとデザイン本部デザイン部エキスパートの金澤秀晃さんは語る。
「最初のステージからスケールモデルを出来るだけ作りました。それを風洞試験に持ち込み、現場でデザイナーとモデラーが盛ったり削ったりしながら計測しなおしてと、数えきれない回数をやりました。デザイナーと空力屋さんでケンカになって、もう出て行けと言われるくらい徹底してやったのです」
空力の目標値はCD値0.33。「グランドクリアランスが200mm近いクルマでは、我々としては未知の領域の数字で、こんなこと出来るのかと思いました」と金澤さんは振り返る。
「実際には、まず居住寸法、特に後席の居住性を空力のロジックとどうバランスさせるか、また後方視界をどうするのか、といったところを、“もう少し出来るのか、出来ないのか”と詰めていきました」
「ディテールだと、例えば、サイドエアダムは、チッピング(石跳ね)と空力と乗降性の要件が重なってくるところです。空力を良くすると乗降性が悪くなるとか、いろいろあるのです」
「新型RVRでは、真ん中辺を乗降性のために(内側へ)叩きました。そうするとギュッと叩いたところから風が上にあがる。その風が、リアホイールの前で車体から剥離する(流れを乱す)風を押さえ、後ろまで風が通って行くようになりました。こんなところが意外と効いたりしました」
「本当に1000分の何がしかの積み重ねをやっていった結果、0.33になったのです。非常にチャレンジングで達成感のあるところだったのです」と空力デザインについて語った。