ダンロップ ENASAVE EC202 ウェット路面の性能は?

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雪の富士スピードウェイ
  • 雪の富士スピードウェイ
  • パドック内のテスト車両
  • データロガー搭載で燃費計測などを行う
  • 解析ソフトのモニター画面。回転数、車速、加減速G、横Gなどが動画とともにログされる
  • データロガーユニット
  • EC202装着のインサイト。これは一般道を含む試走ができる
  • EC202
  • データロガーの画像。下り坂の車速テスト

富士スピードウェイにてダンロップの低燃費タイヤ「ENASAVE EC202」の試走会が開催された。

ダンロップが2009年10月に発表した、新型の低燃費タイヤであるEC202を、2010年の夏タイヤシーズンも迎えるにあたって、富士スピードウェイのパドックや周遊路で低燃費と走行性能を体験してもらおうというものだ。

しかし、富士、御殿場方面は前日からの雪で、路面コンディションは最悪となったが、当日朝の降雪は小康状態で、路面はシャーベット状からヘビーウェットになりつつあった。そこで、試走コースやプログラムを一部変更しての開催となった。たしかにコンディションは良くないが、逆に低燃費タイヤのウェット性能を確かめるという意味では、むしろ絶好のチャンスといえるだろう。

低燃費タイヤは、摩擦をできるだけ減らして、タイヤを転がりやすくすることで省エネ、燃料節約に貢献するというものだが、転がりやすいタイヤというのは、滑りやすい、止まりにくいということでもある。燃費性能は、数々の実験データがメーカーから公表されているので、その効果よりも、実際に自分が使うとなったら、安全性や走行性能が気になるところだ。

午前中の商品の技術説明などの後、試走は、計測器を搭載した車両(『アリオン』)による、燃費比較(EC201とEC202)、定常旋回によるウェット性能比較(EC201とEC202、車種はティーダ)、一般道も使った試乗車による比較(アリオン、『インサイト』、アリオンについてはEC201とEC202の比較も)といったプログラムで行われた。

取材班では、計測器による比較とウェット性能比較、それとインサイトによる試乗を行うことができた。

計測器による燃費測定は、スタート地点からクリープ走行による燃費計測、下り坂のニュートラル走行による速度比較、そして富士スピードウェイ内の周回路を使った通常運転での燃費計測の3つのパターンをEC201とEC202で比較するというものだ。走行データは動画とともに計測器にログされ、グラフ化されたもののデータがもらえるようになっている。

結果グラフをみてもらえばわかるように、クリープ走行のEC201とEC202比較で約3%の燃費アップが確認された。クリープ走行での速度差はほとんどなかった。これは、ダンロップがカタログなどで公表している数値、EC202はEC201に対して燃費で約3.6%向上するというデータとほぼ同じといってよいだろう。ニュートラルによる下り坂の速度比較は、ほとんど差が現れなかったが、自由走行での燃費計測でも平均約3%の燃費向上がみられた。グラフを見てほしいのだが、コースは前半が下りで後半が上りとなっている。このグラフの前半部分での燃費と車速ともにEC202のほうが高い結果になっている。テストなのでほぼ同じような運転を心掛けていたはずだが、EC202のほうが加速もよく燃費がよいということを示している。

低温のウェット路面が燃費や摩擦にどう影響するかは、非常に微妙である。低温は摩擦を少なくする傾向にあるだろうが、ウェット路面はスリップロスによる燃費悪化要素でもある。タイヤだけの違いでほぼカタログ値と同等の結果というのは、燃費性能については効果ありと判断してよいだろう。

定常旋回は、駐車場にR20の円周コースがパイロンで設定され、ウェット時の旋回性能を試すというものだ。本来は散水車が用意され散水する予定だったそうだが、当日は雪解けの水もあり路面がドライになることはなかった。

説明ではコースを2周するのが目安とのことだったが、右回り、左回りを4周くらいずつ試させてもらった。率直な感想は、低燃費タイヤだからといって、極端に滑りやすさやウェット性能を意識する必要はないということだった。およそ40km/hの旋回なら、まったく普通にまわってくれる。50km/hを過ぎるあたりからフロントが滑り出したが、アクセル操作とハンドル操作で旋回は維持できる。車両が軽いこともあって、慣れてくるとむしろ楽しいくらいだ。

EC201とEC202の違いだが、フロントの滑り出しは、EC201のほうが若干早かった程度だが、EC202は排水パターンがEC201より改善されているためか、高い速度での旋回維持が楽だった。フロントのスリップアングルをアクセルとハンドルで調整している状態では、ウェット状態ながら鈍いスキール音が確認できた。

一般道での走行を考えた場合、ウェットコンディションでR20のコーナーを50km/hや100km/hで侵入することはまずないだろう。よほどの事態を想定しないかぎり、低燃費タイヤは雨では危険ということにはならないようだ。

残念だったのは、晴れていれば『プリウス』での走行実験も予定されていたそうだ。重たい車両での燃費、ウェット性能などぜひ体感してみたかった。

《中尾真二》

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