クライスラーグループは7日、「FIRE」(ファイア)エンジンの詳細を公表した。同エンジンは、フィアットの「マルチエア」技術を導入して開発される1.4リットルの直列4気筒だ。
2009年12月、クライスラーグループは米ミシガン州のエンジン工場を拡張し、2010年後半からフィアットのマルチエアエンジンを、FIREの名前で生産すると発表。このエンジンは、2011年から米国で現地生産を始めるフィアット『500』に搭載される。
マルチエアエンジンは、フィアットグループが昨年6月に発表。開発はFPT(フィアット・パワートレイン・テクノロジー)が担当した。電子制御油圧バルブが開閉タイミングとリフト量を制御し、トヨタの「バルブマチック」やBMWの「バルブトロニック」などと同様に、スロットルバルブを使わずに、吸排気バルブをコントロールするのが特徴だ。
マルチエアの1.4リットル直4ガソリンエンジンは、105ps(NA)、135ps(ターボ)、170ps(ターボ)の3仕様を用意。フィアットによると、同排気量のガソリンエンジンと比較して、パワーは最大10%、トルクは最大15%、燃費は最大10%向上。CO2排出量は最大10%低減。PM(粒子状物質)は最大40%、NOx(窒素酸化物)は最大60%も削減する効果があるという。このマルチエアは、フィアットの『プントエボ』、アルファロメオの『MiTo』に搭載されることが決まっている。
クライスラーは今回、FIREエンジンの詳細を公表。それによると、1.4リットル直4エンジンには自然吸気とターボの2種類があり、自然吸気は最大出力100ps/6750rpm、最大トルク13.2kgm/4250rpmを発生。ターボは170ps/6750rpm、23.6kgm/3000rpmのスペックをマークするという。
また、ダイムラークライスラー(当時)、三菱、ヒュンダイの3社が2002年に共同開発した2.4リットル直4「ワールドエンジン」にも、マルチエア技術を応用。こちらは、最大出力190ps/6000rpm、最大トルク24.2kgm/4200rpmを獲得する。従来よりもパワーアップしながら、燃費を改善。この2.4リットルのターボ版も開発を進めているという。
クライスラーグループは2010 - 14年の5年間で、25%以上の燃費性能改善を目標に掲げる。その目標達成にFIREエンジンは大きな役割を果たすことになる。