【フェラーリ カリフォルニア 試乗】ドイツのスポーツモデルがターゲット…松田秀士

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新設計のアルミボディ、14 - 16秒で開閉するメタルトップを持つクーペカブリオ、フェラーリ初のデュアルクラッチ、そしてこれもフェラーリ初の直噴エンジン、そしてV8エンジンを搭載したFRモデルはフェラーリ初だ。

その『カリフォルニア』に乗れば、フェラーリの野心が見えてくる。自動車業界不況の中にあって、フェラーリは下げ幅が極めて小さいメーカーだ。どのモデルもセレブなどが好むニッチマーケットであることを考え合わせれば、容易に理解できる。

しかし、カリフォルニアはそうばかりとも言っていられないコンセプトを持って出現した。たしかに値段は特定の人にしか手が出せないものだが、その乗り味は明らかにドイツのスポーツモデルをターゲットにしている。つまり間口を広げようという狙いが見え隠れする。

40万円ほどのオプションを選べばデルファイが開発したマグネライドサスペンションが装着される。その乗り心地は20インチタイヤを装着してもこれがフェラーリか?、と疑いたくなるくらいに良い。また、デュアルクラッチはポルシェのPDKのようにATのようなクリープ機能を持たせていないにもかかわらず、停止状態からの発進や車庫入れ時のリバースでも微低速でのミートコントロールが抜群。非常に使いやすい。さらに、トランクスルー構造を持っているのでゴルフバッグを2個入れることができる。

しかも、ウインドリフレクターを装着すればオープンにしていても超高速のなか会話ができヘアーセットも乱れない。ロングツーリングもまったく苦にならないだろう。

そういう意味を含め、『F430』等のスポーティーさを追い求めて乗ると肩透かしを食らうかもしれない。走りの面ではサスペンションのストロークは十分にとってあるしロールも大きいからだ。

だからといって一般的なGTカーから比べればそこはやはりフェラーリだ。F430に比べて直噴になったこともあり500rpmほど低い最高回転数ながら、排気音とピックアップはとてもレーシーで素晴らしい。さらに、左足でブレーキを踏み同時にアクセルを全開にして、そのあと左足ブレーキを離してダッシュするローンチコントロールも装備している。

ゲトラグとの共同開発というこの7速デュアルクラッチシステムの品質の高さからは『458イタリア』の実力も見えてくる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア・居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松田秀士|レーシングドライバー/モータージャーナリスト/僧侶
スローエイジングという独自の健康法で53歳の現役レーシングドライバー! SUPER GTをランボルギーニ『ガヤルド』で戦っている。INDY500 など海外レース経験も豊富で、確かな知識と国際感覚でクルマの評価を行う。2009-2010日本カーオブザイヤー選考委員。

《松田秀士》

松田秀士

成仏する直前まで元気でクルマを運転できる自分でいたい。「お浄土までぶっ飛ばせ!」をモットーに、スローエイジングという独自の健康法を実践する。これまでにINDY500に4度出場し、ルマンを含む世界4大24時間レース全てに出場経験を持つ。メカニズムにも強く、レースカーのセットアップや一般車の解析などを得意とする。専門誌等への寄稿文は分かりやすさと臨場感を伝えることを心がけている。

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