ミシュランの顧客は高級セグメントに比較的多く、また『ミシュランガイド』で獲得した知名度から興味を持つ層もいる。24日からスタートするタイヤ直販サイトの「ミシュランストア」では、これらの顧客層を意識したサービスを展開する。
◆“敢えて”リアル店舗へ足を運ばせる意味
「ミシュランストアは、タイヤを庭先に届けることはしない。お客様には店舗へ足を運んでいただき、装着からアフターフォローまでのトータルパッケージとしてサービスを提供する」と語るのは、乗用車・ライトトラックタイヤ事業部執行役員のポール・ペリニオ氏。
購入者は、オンラインで決済後、店舗側に出向いてタイヤ交換をする。この契約店舗の選定にも、さまざまな条件を与えたという。
「タイヤは何インチまで装着できるか、ウェイティングルームがあるかどうか、お客様に対して適切な時期にアポイントを取れるかどうかといった、接客サービスの品質基準を定めた。また、利用したお客様からには、フィードバックをいただけるように店舗を評価していただく仕組みも用意している」(ペリニオ氏)。
◆3つ星評価は得られるか
タイヤの検索から購入・取り付けサービス・アフターメンテの提供・次回購入特典の付与までをワンストップで提供するところがミシュランストアの新しさだ。
そしてウェイティングルームの設置やアフターケアの重視は、タイヤ店とは接点のない新規顧客を獲得するためだけではない。これまで事務的なものだったタイヤ交換にまつわるユーザー体験を付加価値として提供することで、満足度とロイヤリティを高める狙いがあることは明らかだ。アフターケアでリアル店舗と顧客との定期的な接点を持たせることができれば、リピーターとして優良顧客を囲い込むことも可能だし、契約店舗もメリットを享受できる。
ミシュランストアの開設は、これまでのタイヤ販売のビジネスモデルに一石を投じるニュースであることは確かだ。代表取締役社長のベルナール・デルマス氏は「このサービスが3つ星の評価かどうか、消費者の方々に決めていただきたい」と謙虚だが、表情は自信に満ちていたのは印象的だった。