前原誠司国土交通相は9月に空港整備のための国の特別会計を見直す考えを明らかにした。政権交代やJALの経営再建で改めて耳目を集めたが、“空整特会”はすでに数年前から問題となっていた。
幻冬社新書『血税空港』(著:森功)は航空行政の実態を報告する。静岡空港の楽天的な需要予測、世界的なオープンスカイの潮流に遅れをとった現状、その要因ともなっている「成田の呪縛」、そして赤字の支えとなっている空整特会。
空整特会の原資は飛行機の着陸料など空港使用料や航空機燃料税だ。ガソリン税が道路建設に回されるのと同様、空港整備名目で全国の空港にばらまかれる。国内だと1人1回の利用で3000円だという。
羽田空港の再拡張以外にほとんど新規滑走路の建設はないそうだ。つまり空整特会は空港整備を謳いながら赤字空港の運営費用に回されているわけだ。
「空港さえつくれば、航空会社が路線を開設してくれ、赤字は国や地方自治体が面倒を見てくれる」。そんな時代ではないと本書は指摘する。“空整特会”のみならず、日本の航空行政が以下にお粗末かがわかる。当事者へのインタビューも要所々々に挟まり、フェアであると同時に筆者の主張を強化している。