北米日産は1日、8月の米国新車販売の結果を明らかにした。総販売台数は10万5312台で、前年同月比は2.9%減。7月の24.6%減から大きく持ち直した。
日産ブランドの乗用車系では、主力車種の『アルティマ』が前年同月比6.1%増の2万6833台、『セントラ』が78.1%増の1万6396台、『ヴァーサ』(日本名:『ティーダ』/『ティーダラティオ』)が、131.8%増の1万8580台と、久しぶりに前年実績を上回った。
『マキシマ』は6月まで実施していた特別リースプログラムの終了に伴い、8月は17%減の4552台と2か月連続のマイナス。5月に米国市場へ初投入された『キューブ』は、5347台と過去最高の販売台数をマークした。
スポーツカーでは、1月に新型に移行した『370Z』(日本名:『フェアレディZ』)が、前年同月比7.6%減の837台と7か月連続の前年実績超えに終止符。『GT-R』も79.3%減の100台と勢いが止まった。
一方、ライトトラック(SUV/ピックアップトラック/ミニバン)系では、小型SUVの『ローグ』が1万0476台を販売し、前年同月比は57.8%増と2か月連続のプラスを維持した。
しかし、大型ピックアップトラックの『タイタン』は、73.9%減の1534台、『フロンティア』は57.6%減の3875台、『エクステラ』が83.8%減の1332台、『パスファインダー』が80%減の1358台となるなど、大幅な減少が続いている。
インフィニティブランドでは、主力の『Gセダン』(日本名:日産『スカイライン』)が、前年同月比16.8%減の3341台となったほか、「コンバーチブル」の追加で7月は前年実績を上回った『Gクーペ』(日本名:日産『スカイラインクーペ』)が、15.4%減の1562台と早くもマイナスへ。モデル末期の『M』(日本名:日産『フーガ』)も、49.4%減の618台にとどまる。
SUV系では、大型車の『QX56』が前年同月比20.8%減の608台と3か月ぶりのマイナス。『FX』が40.7%減の938台、日本ではスカイラインブランドから発売された『EX』は59.6%減の665台だ。北米日産は、インフィニティの2009年モデルを対象に、8月末までの期間限定で金利0%ローンを導入したが、その効果は限定的だった。
米国市場では、7月下旬から8月24日までの約1か月間実施された「CARS」(カー・アローワンス・リベート・システム)によってトヨタ、ホンダ、フォードなどの新車販売が回復。CARSは米国版スクラップインセンティブのことで、旧車(1984年式以降で燃費は7.6km/リットル以下)から一定の燃費基準を満たした新車に代替する際に、政府が下取り車と引き換えに最大4500ドル(約43万円)分の金券を支給する内容だった。
このCARSには1か月間で、約70万件もの申し込みが殺到。米国政府が用意した30億ドル(約2790億円)の予算は瞬く間に底を突いたことから、米国政府は24日、早々と制度を打ち切った。
米国運輸省は8月26日、CARSを利用した顧客がどのメーカーの新車を購入したかに関する調査結果を公表。1位はトヨタで19.4%を占め、以下、2位のGMが17.6%、3位のフォードが14.4%、4位のホンダが13%、5位の日産が8.7%だった。
日産の8月新車販売は、CARS効果によって、前年同月比2.9%減と、あと一歩のところまで回復した。CARSを利用して、ティーダやキューブなど、燃費のいい小型車に代替した顧客が多かったようだ。