覚せい剤を所持していたとされる人気タレントの酒井法子容疑者の出頭、逮捕劇(8日)で始まった今年のお盆休み。皆さんはいかがお過ごしでしたか。
気になるニュース・気になる内幕…今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップ、内幕を分析するマスメディアクルージング。
●2009年8月お盆休みスペシャル
酒井容疑者の逮捕は9日の東京朝刊が1面トップで報じたほか、各紙とも1面、社会面などで大きく取り上げた。9日朝7時のNHKニュースもトップで約10分間も伝えたほか、民放各局のワイドショーは連日のように“特番”報道され、夏枯れをカバーするために企画した衆院選関連の特集は地味な扱いで大番狂わせとなった。
大きな衝撃を走らせたのは芸能界ばかりでなかった。「清純派」イメージの強かった酒井容疑者は、企業広告や公共キャンペーンのへの起用も相次いだ。トヨタ自動車のミニバン『ノア』シリーズのCMでもお馴染みだったが、逮捕直後、トヨタは「酒井容疑者とのCM契約を、打ち切る方針を明らかにした」と、日経などが報じた。酒井容疑者のファンでノアを購入したユーザーも少なくなく、心境は複雑だろう。
同じように薬物犯罪では俳優の押尾学容疑者らも逮捕されており、有名人の薬物犯罪が横行する中、企業広告などのキャラクターの人選はこれまで以上に慎重にならざるを得ないようだ。
番狂わせといえば、ETC(自動料金収受システム)割引で東名高速を利用して行楽地などへのドライブ旅行や帰省を計画していた人たちも悲惨だった。
兵庫県などの西日本に大きな被害をもたらした台風9号による集中豪雨に次いで、静岡県の駿河湾を震源とする大きな地震(11日午前5時7分ごろ)で東名高速道路の焼津−袋井IC間が通行止め。夜を徹しての突貫工事で16日午前0時には5日ぶりに全面開通したが、迂回ルートになった中央道や一般道は渋滞が続いた。
帰省客の中にはマイカーから電車に“乗り換えた”人たちも目立ったという。JR東海によると「高速を避け新幹線で帰省する人が増えたのではないか」(12日、読売夕刊)と分析。当初「1000円高速」で“閑古鳥”を予想していた新幹線や飛行機は思わぬ“特需”に沸いたようだ。
たが、今年のお盆休みは不況によるボーナスの減少などでレジャー資金の不足から「自宅でゆっくり過ごす」という倹約志向の人も多かった。
そんな巣ごもり族を楽しませてくれたのが男子ゴルフの全米プロ選手権。石川遼選手が3度目の海外メジャーで初めて予選を突破、きょうの最終日ではパープレーと奮闘した。早朝からの4日連続のテレビ観戦で寝不足気味だが、17歳の若武者が「夢」の大舞台に全力でチャレンジしている姿は勇気づけられた。IOCは2016年の夏季五輪で新たに採用する競技の候補をラグビー(7人制)とゴルフに絞り込んだ(14日)。
さて、気になるのはお盆休み中の企業関連の記事である。日経が10日朝刊で「三菱ケミカル、三菱レイヨンを買収」、12日朝刊では「サッポロが明治・ポッカと提携」と業界再編の動きを立て続けに1面トップで報じた以外は各紙とも夏枯れ状態。
自動車関連では、外国車メーカーの話題が多く、「フォード、北米で大幅増産」(14日、日経朝刊)をはじめ、米GMが来年後半に投入する予定の環境対応車、シボレー『ボルト』の「燃費」が、ガソリン1リットル当たり230マイル(約98km)になる見通しと発表(12日,各紙)。「ボルトはエンジンを発電専用に使う新しい仕組みのため、既存のハイブリッド車や電気自動車の燃費性能と概念が異なり、単純比較が難しいのが現状」(日経)としている。その後の報道で米消費者団体専門誌『コンシューマー・リポート』(電子版)が「世紀の誇張の可能性がある」と酷評した。
また、エコカーに出遅れているスズキは、「GMと共同開発している基幹システムを中型セダンに搭載したハイブリッド車を2011年をめどに北米市場に投入する」と日経が16日朝刊で報じた。一方、欧州勢では「独VWが、ポルシェと2011年に経営統合することを正式発表」(14日)、15日の日経朝刊は「VW、トヨタ追撃に一歩」と取り上げた。
このほか、13日の読売朝刊は「トヨタが2011年発売、リッター40キロ150万円ハイブリッド」と取り上げ、14日の産経朝刊も「リッター40キロ、ホンダに対抗」と追随した。「軽自動車、2世帯に1台」(15日、各紙朝刊)、「環境省試算、40年後に全部EV、温室ガス80%削減可能」(同)などのデータも興味深い。
こうした中、あすは政権交代をかけた衆院選の告示。投票まであと2週間となった。国政の動きも気掛かりだが、中田宏市長の辞職に伴う横浜市長選も注目だ。元ダイエー会長でトップセールの異名をもつ東京日産自動車販売の社長だった林文子氏が立候補しているからだ。日産自動車は18日から横浜市の新本社で業務を開始するが、これは単なる偶然の一致だろうか。