デザインのセンスはいいし、走りも概ねそつなく仕上がっているし、コストパフォーマンスの非常に高いクルマだと率直に思う。
0.35秒という瞬時の再始動を実現した注目の「i-stop」は、停止した少し後にアイドリングストップするタイミングもちょうどよく、微低速で動くときに煩わしい思いをすることはない。ただし、不意に再始動してしまうことも多く、さっきの続きでストップして欲しいと思っても簡単にはそうならないし、結果的にちょっとオン/オフがビジーな感じになっている。これはむろんバッテリーやブレーキ等の諸リスクを考えたときに、必要性があってのことではあるのだろうが…。
ドライブフィールは、初代のよさを踏襲しつつ、操作系のタッチも含め、いろいろな部分が軽くなった印象を受ける。反面、持ち味だった「欧州車風味」がやや薄れた気がするところは、ちょっと残念ではある。その主な要因がステアリングフィールで、やや重めだった先代に比べると、取り回し性はよくなったが、接地感やインフォメーションは薄れた。このあたり、さじ加減が難しいところではあるのだろうが、もう少しドッシリとした味があってもいいかと思う。
また、実のところi-stopを得た2リットル車よりも、CVTが与えられた1.5リットル車のほうが、全体的に印象がよかった。
カタログ記載の燃費も、1.5リットル車のほうがだいぶ上で、おそらく実用燃費もその通りだと思うが、動力性能についても、1.5リットル車は排気量のわりによく走るという印象になり、2リットル車との差が縮まった。CVTの制御も、好印象だったデミオよりもさらによくなっている。ハンドリングも1.5リットル車のほうが好みだったのだが、これには90kgという意外と大きな車重の差と、しかもその大半が前軸重であるせいだろう。
いいクルマには違いなく、欲しいという人には太鼓判を押して薦めたいのだが、どこがいいかというのが、あまりキャッチーではないような気もしなくもない。そのカギを握るのが、ステアリングフィールの味付けだと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県生まれ。学習院大学卒業後、自動車メディアの世界へ。自動車情報ビデオマガジン、自動車専門誌の記者を経て、フリーランスとして活動を開始。最新モデルからヒストリックカー、カスタマイズ事情からモータースポーツ、軽自動車から輸入高級車まで、幅広い守備範囲を自負する。現在は WEB媒体を中心に執筆中。「プロのクルマ好き」として、常に読者にとって役に立つ情報を提供できるよう心がけている。