箱根湯本駅が新装開業…箱根の玄関

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神奈川県の箱根登山鉄道(小田急グループ)は14日、観光地箱根の玄関口となる箱根湯本駅を新装開業した。箱根登山鉄道と神奈川県、箱根町の3者が一体になり、駅舎およびその周辺部の改良工事を進めていたもの。

従来の駅舎が老朽化し、その一方箱根を訪れる観光客も高齢化が進み、駅舎利用やバスやタクシーへの乗り換えなど、駅内外の利便性や改善の必要性が求められてきた。駅横を走る国道1号線の渋滞緩和や歩行者の安全のために、あわせて誰にでも使いやすい駅を目指し、ユニバーサルデザインに配慮した公共交通施設として新装開業した。着工は2007年7月、工事費は約19億円(着工時予定)。

新駅舎は3階建て。延べ床面積は約2300平方m。建築面積は敷地面積が限られた場所にて旧駅舎をやや上回るのみとのことだが、3階建てになった分の機能面充実が利用者、運営側の双方でメリットになっている。

駅舎の1階部分にタクシーやバスの乗り場を取り込んだため、駅舎の出入りは外からもホームからもいったん2階に上がることになるが、上下のエスカレーターやエレベーターが整う。もともと線路は駅前広場や国道よりやや高い位置にあった。

2階は駅の機能が揃う。天井の高いコンコースがあり、改札口につながる。券売機をはじめとする駅務室とともに、箱根町の観光案内所、バスや旅行全般の案内所が並ぶ。さらにお土産店、カフェなど、乗車時間待ちや買物もできる。将来は、ペデストリアンデッキ(歩道橋)と接続し、バスへの乗り換えや周辺地区への移動がスムーズになる。

3階は事務所となる。1階はタクシーやバスの乗り場として現在も工事が進行中。

新駅舎には箱根登山鉄道の施設デザインが施され、同鉄道のイメージカラーであるベージュを壁や随所に配色。落ち着いた雰囲気の駅舎を表現している。さらに案内や表示板も大きくするなど、見やすいものになっている。これも箱根を利用しやすくするためのガイドやバリアフリーを考慮した結果でもある。

開業式典に出席した関係者からの期待は大きく、地元の山口昇士箱根町町長は「川をはさんで町役場の向かい側にあるのが箱根湯本の駅。箱根の玄関口でありシンボルとなってきた箱根湯本駅の新装は、観光客のみならず町民にとっても利用促進となり、たいへんありがたい。昨年末からの景気後退で旅行者の減少が心配だが、駅の新装を起爆剤にした町内の活性化と利用しやすい観光地を目指していきたい」とエールを送る。

さらにホテル業界にとっても宿泊客の獲得は必死。箱根ホテル小涌園の山下信典総支配人は「景気の落ち込みに伴う宿泊客の減少は避けられないが、箱根湯本駅の新装開業により、子供から高齢者まで誰もが利用しやすい設備が整ったので、弊館の宿泊や温泉のテーマパークである“箱根ユネッサン”の増客にも努めたい」と期待する。

新装初日の14日はダイヤ改正初日と週末ということもあり、駅員はじめ案内のスタッフも多く配置するなど、観光やサービスの基本である“ホスピタリティ(もてなし)”の姿勢を展開しているのが好感できた。

駅の新装披露式典を兼ねて行われたのが、ダイヤ改正に伴う新塗装車両のお披露目。まず赤い小田急線1000形車両が登場(標準は銀または白の地に青帯)。現在、箱根登山鉄道・箱根湯本 - 小田原間は小田急車両で運転されており、このカラーリングを箱根登山鉄道車両のシンボルカラーとなっている赤色に変更した。ホームでは地元旅館の女将から運転士に花束の贈呈。

引き続き行われたセレモニーは、登山鉄道王国であるスイスのレーティッシュ鉄道との姉妹提携30周年を記念する特別塗装を施した、箱根登山鉄道の2000形車両が登場。レーティッシュ鉄道で運行されている「グレッシャー・エクスプレス」(グレイシャー・エクスプレス、氷河特急)と同意匠の、赤&白の車体色を採用した。先頭部には両国国旗を組み合わせたヘッドマークがあしらわれ、在日スイス政府観光局のロジェ・ツビンデン支局長と和田雅邦箱根登山鉄道社長によって除幕された。

《浜田拓郎》

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