【新聞ウォッチ】試練の年の幕開け…景気も業績も悪化、年越し派遣村に長蛇の列

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気になるニュース・気になる内幕…今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップ、内幕を分析するマスメディアクルージング。

★2009年新春スペシャル版

世界同時不況の出口が見えないまま2009年という新しい年を迎えた。「今年こそ良い年を」と祈願をしたいところだが、「イスラエル軍がガサに地上侵略」(5日=各紙)が1面トップで報じられたように、残念ながら今年も明るいニュースを探し出すのにひと苦労しそうである。

そんな凍るような寒空の中、大晦日から東京・日比谷公園には突然の派遣打ち切りで仕事や住居を失って路頭に迷う派遣労働者らを支援するための「年越し派遣村」が開設され、ボランティアによる炊き出しに長い列が出来た。辛く大変な試練の時こそ不用意な争いは控えて「人の情け」や「絆」を大切にしたいものである。

さて、年末年始の紙面から気になるニュースとして自動車関連の記事を中心にチェックしてみよう。

まず、年が明けて元旦の各紙は、テレビ・ラジオ欄などの別刷りの新年特集を含めてボリュームがたっぷりだが、総ページ数では日経が今年も114ページで一番多く、読売が108ページ、朝日が100ページなどと続く。ただし、毎日は80ページ、産経が76ページ、東京が62ページと何となく物足りなさを感じた。一般的に「別刷り」は広告面で構成されるがスポンサーが広告を控えれば薄くなるのは当然だ。

それでも自動車メーカーではトヨタ自動車が「走り出せば、その先にきっとうれしい未来がある。」というキャッチコピーで新型『プリウス』をイメージするブルーの図柄を掲載した。ホンダは緑の文字で「ハイブリッドカーを、安くつくれ。」と今春発売予定の新型『インサイト』を紹介。経費削減の折、図柄はキャラクターのスヌーピーが描かれているだけで、広告制作費も安くつくれたようだ。

3日付には、ダイハツが晴れ着姿の仲間由紀恵さんの全面カラー広告を各紙に掲載。軽自動車の好調ぶりをアピールした。淋しいのはこれまで元旦の紙面を飾っていた日産自動車が広告を控えたことである。

さて、元旦の本紙の1面トップ記事をみると、読売が「『生体認証』破り入国」とのタイトルで、不法滞在で強制撤去された韓国人の女が生体認証審査をくぐり抜け、不法に再入国していたことを報じた。

読売以外はすべて特集企画で構成。朝日は「世界変動・危機の中で」のシリーズでカネも仕掛けも行き詰まる「ハリウッド」を紹介。毎日はシリーズ「アメリカよ、新ニッポン論」の第1回。産経は「冷戦締結から20年、激動が予感される年の世界を考察」。また、東京は「日本の選択点」のタイトルで日本が「100年に一度」の岐路に立っていると指摘し、ネットカフェ住民をレポートした。

さらに、日経は「世界この先」と題して「危機がひらく未来へ、トヨタ、太陽電池車で挑む」。危機は発明や発見の源泉と伝えているが、取材内容はともかく、暗いニュースばかりが目立つ中で、少しでも明るい展望のある話題を取り上げようとした前向き姿勢は評価したい。

そのほか、自動車関連のニュースとしては、「米財務省が米GMの金融会社に50億ドルの資本注入」(31日=各紙)、「日産車体、900人を福岡へ、神奈川・本社工場から9月に新工場稼働」(1日=読売)、「トヨタ、タイとロシア新工場凍結、需要減で投資選択を加速」(3日=産経)、「昨年、交通事故死8年連続減」(3日=各紙)などと、際立ったニュースはなかった。

また、3日付の読売と日経は経営者による「09年景気・株価見通し」を掲載。自動車業界から日経はスズキの鈴木会長兼社長が回答。今年の景気を「欧米の景気悪化の影響で、輸出が急減速、設備投資、生産も鈍化し、企業業績も悪化」と答えている。対ドル円相場は90円(6月末)- 95円(12月末)と予測。また、読売は日産自動車の志賀俊之COOが回答者だったが、肝心要の「株価」「為替」「原油価格」は無回答。先が読めない時代であることはわかるが、答えられないなら最初から断るべきだろう。

その志賀COOに元旦の朝日は「09年経済を聞く」としてインタビュー。志賀氏は「危機をしのぐだけではなく、将来を見据えたビジョンを維持しながら09年を乗り越えた企業だけが、生き残れる」と語っている。

一方、読売は4日付で日本自動車工業会の青木哲会長(ホンダ会長)を直撃、「大変厳しいのではないかと不安に思っている。世界を見渡しても、明るい材料のある市場が見あたらない」と悲観的な見通し。

きょう5日は午後4時から都内のホテルで自動車工業団体の新春賀詞交歓会が開催される。だが、新年早々、こんな暗い抱負を聞くのでは巣ごもりの正月にすっかり慣れた筆者も足が遠のく。

《福田俊之》

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