【伊東大厚のトラフィック計量学】上昇した後席シートベルト着用率

自動車 ビジネス 企業動向
【伊東大厚のトラフィック計量学】上昇した後席シートベルト着用率
  • 【伊東大厚のトラフィック計量学】上昇した後席シートベルト着用率
  • 【伊東大厚のトラフィック計量学】上昇した後席シートベルト着用率

シートベルト着用率の推移

警察庁とJAFは毎年、公道上でシートベルト着用率調査を実施している。先日公表された最新の調査では、低迷していた後席ベルトの着用率が大きな上昇を見せた。これは、6月に導入されたペナルティによるものだ。

90年以降のシートベルト着用率の推移を見てみよう。後席ベルトの着用率は一般道路上で9%から31%、高速道路では14%から63%と、それぞれ大幅アップとなった(図1)。

導入されたペナルティは、高速道路上に限り運転者に違反点数1点を課す、という軽微なものであったが、高速道路での着用率は60%を超え、一般道路での着用率にも好影響を与えている。また運転席は96%まで上がってきた。これは世界トップと言ってよい値だ。

◆ペナルティ導入と着用率

シートベルト着用率向上の決め手はペナルティ導入にあることは、過去の経験から明らかであった。既に後席ベルト着用にペナルティを課している国では、導入初年度、着用率はいずれも30 - 50%に上昇している(図2)。

日本でも85 - 86年の前席でのペナルティ導入が上昇のきっかけになり、00年に導入されたチャイルドシート未使用に対するペナルティによって、導入初年度、使用率は15%から40%にアップした(図1)。

日本も初年度で大幅アップとなったが、軽微なペナルティにもかかわらず効果が出たことにも注目したい。これは、ドライバー諸兄姉の交通マナーの良さを示すとともに、これまで実施されてきた理解活動が実を結んだのだと思う。

◆基礎にある理解活動

シートベルトの着用は、長期間にわたり官民をあげて理解活動が進められてきた。後席ベルトをしないと乗員が前席を飛び越え車外に投げ出さたり、前席の乗員にぶつかって危害を加えることは、今では多くの人が知るところとなった。

いずれ一般道路でもペナルティは導入されるだろうが、着用率を上げるには規制だけでなく理解活動が必要だ。英国では、91年のペナルティ導入後も様々なキャンペーンを継続し、04年には後席ベルトを70%、チャイルドシートは90%まで向上させている。

日本は、前席の着用率は良いが後席とチャイルドシートが低い水準だ。着用率を向上させるには、理解活動が有効なことは英国の例からも明らかだ。目標は、あくまで「全乗員の保護」である。

《伊東大厚》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集