シャープは、葛城工場(奈良県葛城市)に従来の2.7倍に相当する1000×1400mmの大型ガラス基板を採用した第2世代の薄膜太陽電池の新ラインを増強し、10月から量産開始すると発表した。
これにより、葛城工場の薄膜太陽電池の年間生産能力は、160MWに増強される。
薄膜太陽電池は、ガラス基板の上にシリコンを薄く堆積させた構造で、結晶太陽電池に比べてシリコン使用量が約100分の1と大幅に削減でき、生産工程もシンプルなことから、ガラス基板の大型化と量産効果によるコストダウンが図れる。
また、結晶太陽電池に比べて高温時に変換効率が低下しにくいという温度特性を持っており、気温の高い地域では発電量が多くなる。このため、薄膜太陽電池は南欧など高温地域における大規模太陽光発電施設としてのニーズが急激に高まっている。
新ラインでは、業界トップクラスのモジュール変換効率9%と高出力128Wの第2世代薄膜太陽電池を生産する。
また、基板の大型化と高出力化の実現で、従来よりも設置枚数が少なくて済み、設置コストの低減が図れる。これにより、発電時のコストダウンが期待できる。
まず、需要が急拡大している欧州の大規模発電プラント向けに出荷する。
今回の増強には約220億円を投じて、2009年度に大阪府堺市に稼動予定の薄膜太陽電池新工場と同じサイズの大型ガラス基板に対応した新ラインを導入している。
この生産ラインをベースに生産技術・ノウハウの蓄積を図り、新工場におけるモジュール変換効率10%を実現する薄膜太陽電池の量産体制の早期確立を目指す。