三菱重工業は、ドイツの電力会社エーオン・エナジー社と共同で、石炭火力発電所から排出される二酸化炭素(CO2)の回収技術の実証試験を行うと発表した。
燃焼排ガス中のCO2を特殊な吸収液(KS-1)と蒸気で分離・回収する三菱重工の技術を使って回収能力1日100tの試験設備を2010年初めに稼働させる。消費エネルギー量の削減を目指して各種の検証を行う。
今回の計画では、エーオン・エナジーが自社石炭火力発電所の1つに、排ガス冷却塔、吸収液を使うCO2吸収塔、吸収液からCO2を分離する再生塔などの設備を三菱重工の基本設計に基づいて設置する。三菱重工は一部機器と吸収液を供給する。
実証試験は2年間を予定しており、石炭焚きボイラーからの排ガスを受け入れ検証する。エーオン・エナジーの投資額は、約1000万ユーロ(約15億円)を見込んでいる。
石炭は埋蔵量が最も豊富な化石燃料だが、燃焼時に温暖化ガスのCO2を、天然ガスや石油に比べ大量に排出するのが課題だ。両社は実証を通じ、石炭火力発電から効率的にCO2を回収し、地球温暖化の抑制に貢献度が大きい技術の確立を目指す。