マツダ新型『アテンザ』にとって最重要パートのひとつであるスタイリングを手掛けたのは、FD3S型『RX-7』などを手掛けた佐藤洋一氏である。
そのボディはセダンの場合で全長が4735mm(先代比+60mm)、全幅が1795mm(同+15mm)と、ヨーロッパ基準を見据えるいっぽうで、日本の道での使い勝手をも考慮したギリギリの線まででサイズアップされている。開発担当主査の梅下隆一氏によれば「とくに全幅については拡大分の半分以上がデザインのために割り振られている」という。
見ての通り、それは流麗なフォルム、滑らかな曲面と鋭いエッジのコントラストなどに結実している。フェンダーのエッジに沿わせたボンネットの見切り線などは、生産性の面で激しい議論もあったというが、最終的にはデザインが重視されたのだという。大いに力が入っているのだ。
セダンとスポーツ/スポーツワゴンではバンパーなどの意匠が異なっている。これもセダンはエレガンスを重視し、スポーツ/スポーツワゴンでは若々しさをアピールするという戦略に拠るものだ。いずれにしろ、その外観が実際以上に大きく見えるのは、伸びやかなデザインの勝利といえるだろう。
インテリアに関しても、とくに初期型ではチープな印象が拭えなかったものだが、新型はデザイン、そしてクオリティともにこだわりが貫かれ、やはりエレガントで上質感を漂わせるものへと進化している。
まだまだヨーロッパ市場で最大のライバルと見据えているVW『パサート』のフィニッシュレベルには届いていないのも確かだが、ステアリングスイッチで空調やオーディオなどの各種機能を呼び出せる「CF-Net」の採用など、派手さはないが有用な機能も備わり、全体で見れば少なくとも従来のように不満が噴出することはないはずである。