1 | MacBookに肉薄するサンドイッチ |
乗り物の速度向上の歴史は、「車内で食べる」という行為の回数と反比例する。各地に新幹線網が伸びたことで、駅弁をゆっくり車内で食べる回数が減った人という人は多い。
ボクなどはここ数年、日本で駅弁の購入場所といえば、車内よりデパート/スーパーの全国有名駅弁大会のほうが多い。「鉄道唱歌」がエンドレスで流れている、あのコーナーである。
イタリアにおいても同様のことがいえる。駅弁文化こそなかったものの、列車内の食堂車のメニューは簡略化が進んでいる。イタリアといえば、ジウジアーロやピニンファリーナがデザインしたスタイリッシュな特急車両「ペンドリーノ」だ。しかし食堂車で出てくるのは「チンもの」、つまり冷凍食品のレンジ解凍が大半である。
ヨーロッパ圏内の飛行機の機内食、ここ数年経費節減策もあって簡略化が進んでいる。サンドイッチは、『MacBook Air』と争っているのかと思われるくらい薄くなった。仕方ないので、トマトジュースで腹を膨らせている。
定期フェリーもしかりである。わが家のあるトスカーナからフランスのコルシカ島までは所要3時間の路線であるが、船内のレストランはセルフ式だ。アウトストラーダの食堂同様、パスタは、のびても不味くなりにくいタイプばかりが揃えられている。