「シェアに対するこだわりはあるが、安売りをしてということは会社の運営としてあり得ない」。こう話すのはいすゞ自動車の細井行社長である。同社は今上半期、普通トラック(4トン超)のシェアが32.2%となり、40年ぶりにシェアナンバーワンに返り咲いた。
国内のトラック業界はここ数年の間に再編が進み、4社のうち2社が外資系になり、ビジネスの進め方もドライになった。そして、これまで首位だった日野自動車も、トヨタ自動車が株式の51%を所有し、マネジメントの仕方が変わってきている。
そんな中で、いすゞだけが以前のまま。「大型トラック市場はお客様とメーカーが運命共同体のようなところがある。うちだけ価値観を変えていないことが、お客様に安心感を与えたのではないか」と細井社長。
しかも、いすゞは今でこそ業績がいいが、長い間、経営が苦しかった。それだけに、他人の痛みもよくわかる。運送業者は現在、原油高の影響をまともに受け、経営的に厳しいところが多い。そんなことも考えながら、顧客の立場に立った営業を続けてきた結果、シェアナンバーワンに返り咲いたといえよう。