東京モーターショー2007のスズキブースでは、セニアカーのコンセプトモデル、『MIO』も参考出品される。それも、革新的な技術を投入して、だ。燃料電池を搭載しているのである。
セニアカー(シニアカー)というのは、足腰の弱った老人などが移動手段として使う福祉用の電動車両のこと。最高速度は6km/h以下で、歩道があれば歩道を走行しなければならないという制約がある代わりに免許証は不要。保安部品の装着義務もなく、交通法規上は車椅子と同じ扱の車両だ。
MIOと市販モデルとの最大の違いは、電源。通常用いられる充電式鉛蓄電池ではなくダイレクトメタノール型の燃料電池にしている。メリットは、充電する手間が省けることと(かわりに燃料の補充が必要になるが)、連続走行距離が増えることだ。
燃料は、メタミックスと呼ばれる54%メタノール水溶液を想定している。満タンで4リットルの燃料補給による連続走行距離は、鉛蓄電池を使ったセニアカーの倍ちかい約60km。それだけでも行動範囲は大きく広がるが、カセット式の補助燃料ボトルを装備することで、メインタンクの燃料切れが起きても動かせることも大きな進化といえるだろう。
現在のシニアカーはバッテリーがなくなると再充電するまで身動きが取れなくなるが、このMIOならそんな心配は不要なのだ。