今年2月、大阪府吹田市内の府道で大型バスを運転中にモノレールの橋脚に激突する事故を起こし、27人を死傷させたとして業務上過失致死傷などの罪に問われた22歳の男に対する判決公判が6日、大阪地裁で開かれた。裁判所は執行猶予付きの有罪を命じている。
問題の事故は今年2月18日早朝に発生した。吹田市津雲台7丁目付近の大阪中央環状線西行き車線を走行していたスキーツアーの大型観光バスが道路左側にある側道との分離帯に接触。そのまま道路右側に弾き飛ばされ、中央分離帯部分に設置された大阪モノレールの高架橋脚に激突した。バスは前部が大破し、最前部の補助席に座っていた16歳のアルバイト添乗員の男性が死亡。21歳(当時)の男性運転手を含む25人が骨折や打撲の重軽傷を負った。
運転していた男(被告)は連続勤務による過労状態。出発時には疲れをはっきりと認識していたが、会社は運転を命じ、必要とされる交代要員も用意しなかった。
6日に行われた判決公判で、大阪地裁の笹野明義裁判官は「心身の疲労が極限だったのに安易に運転を引き受けた過失は大きい」と指摘したものの、「被告実父の経営する会社は利益追求のため、被告を含めた従業員に過重な勤務を強いていた」と認定。事故で実弟を亡くしていることを含め、情状の酌量が認められると判断。被告に対して懲役2年6か月(執行猶予4年)の有罪判決を言い渡した。