3 | 「生真面目」がドイツのデザイン |
ドイツと聞いて、ビールやソーセージを思い浮かべ舌なめずりする食いしん坊もいるだろうが、ロマンティック街道や古城街道など観光の思い出を語る人が多い。もちろんクルマを第一に思い浮かべる人は多いし、最近ではサッカーで有名になったシュツットガルトなどの、清潔な町並みに感動した人もいそうだ。
総じてドイツの印象は、何事につけがっしりした作りと、「生真面目」に感じるくらいの清潔感に行き着くが、同時にドキドキするような楽しさの無いことにも気付かされる。これは、ドイツのデザインの印象にも似ている。
その反対がイギリスで、人生を楽しくするためにウイットを乱発するように、デザインにもウイットを求めるようだ。それが、デザインの洒落っ気につながっているような気がする。
デザインは、変わるものと、変わらないものとの組み合わせで成り立っていると考えたことがある。変わるものは技術や流行のようなものであり、変わらないものは、美的バランスや、民族的好みなどがあげられる。
今やクルマの世界ではドイツを抜きには考えられない。とりわけ日本ではドイツ車がベンチマークとなるなど、ドイツデザインの人気も高くなっている。良い機会なので、Mini、MINI、そして新型MINIを比較して、お国柄とデザインについて考察することを勧めたい。
D視点:デザインの視点 筆者:松井孝晏(まつい・たかやす)---デザインジャーナリスト。元日産自動車。「ケンメリ」、「ジャパン」など『スカイライン』のデザインや、社会現象となった『Be-1』のプロデュースを担当した。 |