【ストラーダ HDS910 長期リポート】対談 リポートを終えて/後編

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2006年、地上デジタル放送チューナーを標準搭載したハイエンドカーナビとして人気を博したストラーダFクラス『HDS910』。長期リポートの締めくくりとして、松下電器産業 市販マーケティンググループグローバル販売助成チームリーダーの川原正明氏とリポーターである神尾寿の対談をお届けする。

◆音声認識とUIのトレンド

−−ストラーダのUIはタッチパネルの操作性を中心に満足できたのですが、唯一、不満だったのが音声認識です。これはパイオニアなど他社のカーナビに比べても認識率や使い勝手でやや劣る印象でした。

川原 我々も音声認識の部分は手を抜いているつもりはないのですが、クルマの中という環境では認識率に限界があるのも事実ですね。実際、静かな屋内でテストすると音声認識の認識率はそれほど悪くないのですよ。しかし、クルマの中はノイズが多いのでどうしても限界がある。

−−個人的には音声認識時の「絞り込み」と「マイクの位置」も重要かなあ、と感じました。ちなみに利用者の声として、音声認識機能のニーズはいかがでしょうか。

川原 正直、あまり高くないですね。ですから、タッチパネルの操作性改善の方が、お客様のニーズに合致していると考えています。音声認識機能につきましても、当社の場合はハイエンドモデル向けの搭載ですし。

−−なるほど。その点ではストラーダは、多くの万人向けのニーズであるタッチパネルUIに注力しているわけですね。ところでタッチパネルといえば、ストラーダを使い始めて便利だと思ったのが、DVDソフトのメニュー画面でも「タッチ操作」ができる点です。これは普通、リモコンで操作するものですよね。

川原 DVDメニューのタッチパネル操作は当初は海外向けの製品から導入したのですよ。それが昨年から国内向け商品でも利用できるようにしています。

−−さりげない機能ですけど、あれは便利ですよね。チャプターの選択とか。家庭用テレビでDVDを見る時も、ついタッチしたくなります(笑)。地デジやツートップメニューもそうですが、やはりストラーダシリーズは「タッチパネルのUI」にこだわりと優位性がありますね。

◆今後のオーディオ・ビジュアル機能

−−昨年のストラーダは地デジがセールスポイントでしたが、その一方で『iPod』接続ケーブルが割安なオプションになっていたりとか、音楽関係の機能も地道に充実していた印象があります。カーナビの音楽機能はCDからはじまり、MD、HDDオーディオ、SDオーディオ、そしてiPodといろいろな音楽ソースに対応してきたわけですが、この流れは今後どうなると考えていますか?

川原 これは当社だけの傾向ではないと思うのですが、MDの需要は減少傾向にありますね。例えば昨年はMDレスのモデルの方が売れるという傾向にありました。

−−なるほど。ポータブルオーディオのトレンドが、カーナビにも反映されているようですね。

川原 そうですね。逆に、iPodやSDオーディオの需要はこれからも伸びると思っています。

−−私はリポート中のテストを除けば、iPod接続でしか音楽は聴いていません(笑)。

川原 お客様全体の需要を考えれば、HDDオーディオなんですよ。当社も大容量ハードディスクを音楽機能に割り当てていますが、ここはニーズが高い部分です。

−−しかし、HDDオーディオは各社が基本機能として搭載した結果、商品企画する側からすると差別化が難しくなってきていませんか?

川原 いや、そうでもありませんよ。例えばうちの場合は、昨年のモデルから音楽圧縮技術をAACに変更して、ビットレートを高くすることなく音質向上をしています。あとはリッピング速度を上げるなど、細かな部分での競争力向上を行っています。

−−全体的にみれば、圧縮技術による「音質の違い」まで気にするユーザーは少数派ではありませんか? 特にクルマの中だとスピーカー構成や車体の遮音性能に左右される部分の方が大きいわけですし。

川原 確かにそういう見方もできます。しかし、よりよい音楽圧縮技術を使うことは、音質面での改善ももちろんですが、より多くの楽曲を保存できるという「キャパシティ」でも有利に働きますから。

-−−他のデジタルオーディオ連携という視点では、ストラーダは歴代SDオーディオを搭載していますね。

川原 SDオーディオは松下グループのホーム部門とも連携して展開していますし、ケータイで聴くよりも音がよくなるように音質向上をしています。

−−SDという視点だと、最近はSDビデオも現実感がでてきましたね。こちらはいかがでしょうか。

川原 充分に可能性はあると思います。どこまでいけるかというのが、課題ではありますが。

−−と、いいますと?

川原 今からSDでビデオ映像を、ということならばハイビジョン録画・再生に直接いくということになるんじゃないかと思うのです。松下ではこれまでSDでMPEG4録画・再生を推進していたのですけれど、家電側がMPEG4対応ではなくなってきています。カーナビやケータイ向けは今後、ハイビジョンで対応していくという形になるでしょうね。

−−そうなるとSDメモリーの大容量化が必要ですね。

◆カーナビ機能はどう進化するか

−−ところで、肝心のカーナビ機能ですが、ここは正常進化といいますが、誤解を恐れずに言えば「代わり映えしないな」と思う部分です。あまりイノベーションを感じない。例えば、データベースや検索の部分など、もう少しドラスティックな変化があってもいいような気がします。

川原 その辺りは正直、他社も含めてこの2−3年あまり大きな変化が見られない部分ですね。もちろん、中身のデータはアップデートされていますけど、検索やナビゲーションなど方法論は変わってないですね。

−−キーワード検索がもっと柔軟かつ網羅的にできるといいんですけれど。最終的には、インターネットにもつながり、「ローカルデータでマッチングしなければ、インターネット上のデータを検索する」となればいいのですが。

なぜそんなことを言うかというと、同じキーワードで施設や場所を探した場合、カーナビの内蔵データベースではヒットしないのに、「Google」では情報が見つかるというケースが多いんですよ。

川原 ストラーダの場合はPCで検索して見つけた地点情報を、SDカード経由でカーナビに登録するといったことはやっています。インターネット上の情報をどうやってカーナビに取り込むかというのは、将来的には、SDカードや通信機能などを使ってやっていくことになるんじゃないかと思います。

−−なるほど。ちなみにテレマティクスに対しては、どのようなスタンスですか。

川原 今はVICS対応など基本的な部分のみですが、インフラ側が整ってくるのなら、ホンダのインターナビのようなことはやりたいと思っています。フローティングカーのようなweb 2.0的なアプローチのニーズはあるとは思いますが、市販カーナビメーカーだと単独でやるのは難しいですね。VICSのように官公庁が推進し、パブリックなスキームとしてインフラ整備をしていただかないと、市販メーカーとしてはテレマティクスを採用しにくいです。

−−やはり市販メーカーの場合は、ある程度の規模が確保できるスキームとインフラ作りが、テレマティクス実現の鍵になりそうですね。

では、最後に、今後のストラーダの方向性や意気込みをお聞かせください。

川原 当社はこれまで業界2位が定位置という期間が長かったわけですが、昨年は「地デジ」というエポックメイキングな時期にいち早く対応モデルを出したことで、シェアを伸ばすことができました。またストラーダFクラスのポジショニングも確立できたと考えています。

今年のモデルではさらに「ハイエンド=ストラーダ」であると多くの皆様に納得していただける製品を投入したいと思います。

−−本日はどうもありがとうございました。

《神尾寿》

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