2005年2月、千葉県松尾町(現:山武市)でクルマを泥酔状態で運転し、8人を死傷させたとして危険運転致死傷などの罪に問われた33歳の男について、最高裁第2小法廷は5日付けで上告棄却の決定を行った。1審と2審の懲役20年判決がこれにて確定する。
問題の事故は2005年2月5日夜に発生した。被告は知人宅から勝手に軽乗用車を持ち出し、泥酔状態のままこれを運転。松尾町下野付近の県道でを歩いていた男女8人を次々にはね、4人が死亡。残る4人にも重軽傷を負わせたが、そのまま逃走。翌2月6日になって出頭したが、警察では「極めて悪質」として、危険運転致死傷容疑で送検。検察側もこれを支持して同罪で起訴していた。
被告弁護側は「酔ってはいたが、運転が困難になるほど酔ってはおらず、正常に運転できる状態だった」という主張。1審の千葉地裁(山口雅高裁判長)はこれを退け、「被告は事故当時、第三者が見ても分かるほどに平衡感覚を失っていた」と認定。「アルコールの影響で運転操作が困難な状態で自動車を走行させていた」と認定。併合罪の適用も認めて懲役20年の実刑判決を言い渡した。
被告側は「運転が困難な状況ではなく、危険運転の事実認定に疑問がある」として控訴していたが、2審の東京高裁(河辺義正裁判長)は「被告は最初の被害者に衝突した以後もブレーキを掛けた形跡は無く、飲酒の影響で正常に運転ができない状態にあった」と指摘。「被告は帰宅の際に運転することを認識しながらも酒を飲んでおり、故意が伺える。遺族らの憤りは激しく、量刑が重いといえない」として、1審判決を支持。被告の控訴を棄却している。
最高裁第2小法廷(津野修裁判長)も1、2審を支持し、被告の上告を棄却する決定を行った。