最高出力170ps、最大トルク24.5kgmを発生するフォルクスワーゲン『ゴルフGT TSI』の1.4リットル直噴ツインチャージャーエンジン。
そのスペックだけをみると、スバル『インプレッサ』のようなリッター140ps以上のハイスペックを見慣れた日本のユーザーにとっては、少々パワフルなだけの普通のターボエンジン程度にしか感じないかもしれない。が、実際に中身を見ると、相当のハイテクぶりである。
欧州では今日、ターボやスーパーチャージャーなどを使った過給エンジンがブームだ。かつて、ターボはハイパワー追求の代名詞のような存在だったが、今日の過給器の位置付けは昔とは異なり、エンジンをよりコンパクト化、高効率化する“ミニマイズ”のための技術として注目されているのだ。
俗に“ストイキターボ”と呼ばれる高効率過給エンジンは、欧州勢ではBMWやメルセデスベンツなど多くのメーカーが手がけている。日本メーカーではホンダやマツダがストイキターボを市販しているものの、全体的に開発は低調。
「(ターボ装着が前提である)ディーゼル乗用車の締め出しが少なからず影響した」(国産メーカーのエンジニア)との声も出るなど、かつての“ターボ大国日本”というイメージとは裏腹に実は比較的苦手な分野である。