【池原照雄の単眼複眼】道路特定財源に対する不条理な目論み

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受益者負担で集められた税金

道路特定財源の一般財源化問題がヤマ場に差しかかった。政府は8日に与党との合意を得たい考えで、自動車重量税のほかガソリンに課せられる揮発油税も2008年度から暫定税率のまま、一般財源にしようとしている。不条理なこの目論みの推移を、自動車ドライバーあるいは納税者として注視していきたい。

一般財源化を検討されているのは、6種類の税金からなる道路特定財源のうち国の財源となる重量税(3分の1は地方財源)、揮発油税など約3兆5000億円分。いずれも「受益者負担」を明確にするため、自動車ユーザーに負担を求め道路の建設や保全に使われてきた税金だ。

これらを、財政再建の一環として使い道を限定しない一般財源に転用しようという「基本方針」が小泉純一郎政権時代の昨年12月に政府・与党で合意されていた。これを引き継いだ安倍晋三内閣は、今のところ07年度からは重量税、08年度からは揮発油税を転用する方向だ。

◆納税者無視でも「改革」なのか

しかも、本来の税率を上回る暫定税率のままで一般財源化を画策している。重量税については30年にわたって本則税率の2.5倍、揮発油税については2倍という暫定税率が適用されてきた。道路財源から切り離すなら、せめて暫定税率を元に戻すのが、納税者に示す最低限の誠意だろう。

これまでの経緯を無視してマスメディアが、暫定税率のままの一般財源化は、安倍政権の「改革の試金石」とあおるのも納得できない。納税者の理解も得ずに、税金の使途を変えることが本当に「改革」だと思っているのだろうか。塩崎恭久官房長官に至っては、運転免許取得者は7900万人もいるので納税者は国民そのもの。国民の理解が得られる分かりやすい改革が必用、という屁理屈をこねている。

◆1033万人の声をどう受け止めるのか

「国民」は改革を支持すると、与党の反対勢力に圧力をかけているのだろうが、一般財源化に反対する署名が11月までに1033万人に達していることをご存知なのだろうか。普段は結びつきもなくばらばらなドライバーが、これだけの規模でひとつの意思表示をするのは前代未聞のことだ。

1033万人という数字は、04年夏の前回参院選における自民党の全国区獲得票数の6割に達する。署名した人々の声を安倍政権がどう受け止めるのか、8日の政府・与党合意の内容をしっかりと吟味しよう。

《池原照雄》

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