ダイムラークライスラーは第22回国際電気自動車シンポジウム・展示会(EVS22)に『Bクラス』ベースのFCEV乗用車を参考出品。さらに研究を続け、2012年から2015年の間に実用レベルのFCEVを開発する予定だ。
ダイムラークライスラーは、現在も合計100台以上の燃料電池車実走行プロジェクトを世界各地で展開しているが、さらに積極的なプロジェクトになり、FCEVをただのアドバルーンにする気はないという。
「単にFCEV乗用車を世間に出すというだけではなく、コスト、資源問題について、ある程度の見通しを立てた上での計画です。FCEVは持続可能なモビリティの中核技術」(ダイムラークライスラー関係者)
近年、蓄電池を使ったEVが注目されている。が、航続距離の短さ、充電時間の長さといったデメリットはまだ十分に解決できていない。それらの原因となっているバッテリー性能の改善も進められているが、重量に対する蓄電可能量には物理限界があるため、飛躍的な改善は難しい。
100kW級という強力なパワーソースを搭載し、補助バッテリーを併用しつつ力強く走るFCEVは、実用化への課題をいまなお多数抱えているものの、将来的には今のクルマの使用パターンをそのまま受け継ぐことのできるトランスポーターとして、主役に立つだけの素養を持っている。また、自動車業界が水素社会の実現の一翼を担うべく、技術開発に意欲を燃やしていることも確かである。今後、世界の開発競争はいっそう激化することだろう。