1949年にリリースの初代『XK』シリーズ。1961年に誕生し、現代へと続くブランドバリューの高さを決定的なものとした『Eタイプ』。そして、ゴージャスなGTカー的な雰囲気をも強く盛り込んだ1975年の『XJS』……。
そんなこれまでのさまざまな歴代モデルに共通してきたのは、「低く、流麗なボディ」というジャガーのスポーツモデル独得のプロポーション。そしてもちろん、1996年の発売以来9万台という世界販売の実績を持ち、「ジャガー史上でもっとも『売れ行きの速い』スポーツカー」と自らを語る従来型のXKも、例外には当たらなかった。いい方を変えれば“低く、流れるようなボディのシルエット”は、今やジャガーのスポーツモデルに必須の条件なのだ。
それゆえ、昨年のフランクフルトモーターショーで初公開された新型XKも、もちろんそうしたセオリーを守り抜いている。
「ルーフ格納のためにはボディ後部がどうしても“厚く”なってしまうため、最近流行のリトラクタブル式ハードトップの採用は考えず」、「最新の歩行者保護要件を満たすための高いフード位置はジャガーらしさを損ねるので、世界でもっとも早い段階でポップアップ・フードのテクノロジーを採用し、美しさと高度な安全性を両立させた」と、そんなこだわりのトピックも聞かれるのが新しいXKシリーズ。
そんなこのモデルのもうひとつの技術的ハイライトは、オールアルミ製のボディ構造を採用した点にある。
劇的な軽量化を目指したその構造は、「現行XJサルーンで培ったテクノロジーを、接合個所を減らしたり押し出し成型品の割合を大幅に増やすなどさらに進化させた」というもの。実際、オープンモデル同士の比較では、いわゆるホワイトボディの重量はメルセデス・ベンツ『SL』の360kg、BMW『6シリーズ』の370kgという値に対して、「わずかに285kg」という圧倒的にな軽量ぶりを誇っている。
もちろん、単に軽いというだけではなく、例えばねじり剛性値は従来型に対してクーペで31%、コンバーチブルで48%も向上するなど「他社ライバルを上回る強靭さを誇る」というのもこのオールアルミ製ボディの大きな特長。いずれにしても、新型XKのハードウェア上の“キモ”はまず、そのボディに隠されているわけだ。(つづく)