【神尾寿のアンプラグド】車内でブロードバンド…モバイルWiMAX

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2月17日、KDDIが大阪で次世代ネットワーク構想と最新技術をお披露目するイベント「ウルトラ3Gショーケース」を開催した。その中でも注目は、高速・大容量通信を実現する“モバイルブロードバンドサービス”向けの新技術「モバイルWiMAX」の実証実験だ。

現在、携帯電話業界ではハンドセット(電話機)向けの「第3世代携帯電話(3G)」が普及期に入っており、KDDIのauに関しては3G移行がほぼ完了している。しかし、この3Gはあくまでハンドセット市場向けの通信インフラであり、ノートPCやクルマなど携帯電話以外の機器にはパケット通信定額制は提供されていない。また携帯電話向けに限っても、音楽や映像などリッチコンテンツの利用や、VoIP型の音声定額サービスの将来ニーズを鑑みると、3Gの持続的な進化だけでは通信容量が足りなくなる可能性がある。

そこで最近、注目されているのが、モバイルブロードバンドという新しいカテゴリーである。ここでは3Gとは別の2.5GHz帯の周波数が割り当てられ、新たな通信技術によってデータ通信に特化したブロードバンドサービスの実現が考えられている。その“新たな通信技術”として脚光を浴びているのが、今回KDDIが実証実験を行った「モバイルWiMAX(IEEE 802.16e)」や、米クアルコム社が推す「IEEE 802.20」方式である。モバイルWiMAXについては、今回実証実験を行ったKDDI以外にも、NTTドコモやイー・アクセス、ソフトバンクなどが採用を検討する表明を行っている。

◆都市型サービスエリアで、120km/hまで対応

KDDI執行役員技術統括本部長の安田豊氏は、モバイルWiMAXの特徴として「高速大容量のモバイル無線通信であり、都市規模のエリア展開に適した方式である点など、モバイルWiMAXの(導入)メリットは大きい。ビット単価の低減も期待できる」点などをあげる。大阪市内の実験基地局の1基あたりのカバーエリアは約1kmであり、これは都市部における3G基地局のカバレッジと同じだ。通信速度は平均実効速度で6−7Mbps程度を計測しているという。現在、3Gの平均実効速度が数百Kbps程度という事を考えると、「桁違い」の速度が出る。

KDDIは今回の実証実験にあたり、実験基地局1基を都市高速道路沿いに設置して、高速走行中のクルマからの接続も実験した。高速移動時の利用においてドップラー効果の影響などをテストしたが、「80km/h程度では通信速度低下の影響は見られなかった。ラボでは120km/hまでの利用は可能という結果が出ている」(技術説明員)という。

また、モバイルWiMAXは基地局同士の切り替え(ハンドオーバー)処理も携帯電話並に高速にできるため、クルマ向けのブロードバンド通信インフラとしても充分に利用できそうだ。実際、プレス向けのデモンストレーションでは、街中を走るバスの中でライブカメラの映像とビデオ・オン・デマンド(VOD)のストリーミング映像を走行中にも途切れなく再生していた。

◆モバイルブロードバンド技術は北米の動向に注目か

KDDIによると、モバイルWiMAXを中心に検討が進むモバイルブロードバンドサービスについては、周波数の割り当て時期にもよるが、2007年から08年頃の商用化を検討しているという。この頃にはモバイルWiMAX関連の通信デバイスも市場に出回る見込みだ。

さらに自動車業界の視座から注目なのは、モバイルWiMAXや802.20方式の動向が北米市場ともリンクしていることだろう。モバイルWiMAXにはインテルなど複数の米国のPC系ITベンダーが関与しており、一方の802.20方式を推すクアルコムは、ベライゾンやスプリントネクステルなど北米の大手携帯電話キャリア向け端末のチップセットサプライヤー最大手だ。今後、日本でどちらの方式が採用されても、北米市場の動向と密接な関わりを持つ可能性が強い。

言うまでもないが、日本の自動車産業にとって北米市場との連携は最重要テーマだ。日本と北米市場で同じ規格が事実上の標準になり、通信機器の大半を共有化できるようになれば、自動車メーカーも採用しやすくなる。

日米のモバイルブロードバンドサービスの動向が今後どうなるのか。自動車業界からも注目しておいて損はないだろう。

《神尾寿》

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