ガソリン1ガロンの価格が3ドルに迫っているアメリカで、ハワイ州が消費者保護のためのユニークな政策に乗り出した。
これはガソリンの卸価格に上限制度を設けるもので、原油価格が下がる事で精製にかかるマージンを下げ、小売りチェーンを守るのが目的だ。現在のところ店頭での小売価格の下落にはつながっていないが、長期的に価格の安定に役立つ、と期待されている。
特に自動車の保有台数が多いカリフォルニア州ではこのハワイの試みに注目しており、成功すれば即時にカリフォルニア州にも導入する用意があるという。またハワイに注目している州は他にも多い。
ただし共和党の一部議員や石油会社側は「ガソリン不足などを引き起こす可能性もある」と警告している。
ハワイは地理的な条件などから全米でも最もガソリン価格が高い州だ。全米平均よりもガロンあたり40セントも高く、一部小売業界などでは輸送価格の高騰から値上げを余儀なくされている。問題は、ハワイがどの州よりも原油価格の上昇に左右されるのに、下落とは連動していないという点で、シェブロンの収支を見てもハワイでの利益率が高いことが伺われる。
そのため、2002年にガソリン価格上限を設ける法案を可決したが、内外の圧力により2004年に廃案となった。今回復活した法案は、卸価格のみの上限制度で、しかも週ごとに市場を見て価格設定が変えられる、というもの。
それでもハワイのガソリン小売価格はガロン当たり2.823ドルで、カリフォルニア州の2.801ドル、全米平均の2.603ドルを上回っている。
アメリカでガソリン価格上限が設けられるのは1970年代のオイルショック以来で、ハワイの試みには賛否両論ながらも大きな注目が集まっているようだ。