★霊柩自動車運送業界の未来
近年、葬儀の個性化や簡素化、低価格化が進んでいる。こうした傾向が葬儀とセットとも言える霊柩自動車運送事業に及ぼす影響を、全国霊柩自動車協会の柴山専務理事にお聞きした。
シビアな話だが、今後、30年間は死者数が増える傾向にあり、仕事としては途切れないという。一方で葬儀が簡素化、低価格化していることに対しては「きちんとした葬儀を上げたい人はかなり多いので、それほど悲観していない」と語る。
そもそも「葬儀はサービス業で許可は不要」、「霊柩自動車運送事業は貨物自動車事業で許可が必要」と、それぞれ独立した仕事だ。しかも葬儀がどのような形態でも、最終的には霊柩車が遺体を搬送することに変わりはない。それだけが理由ではないが、芝山専務理事は「葬儀がなくなっても霊柩車はなくならない」と断言する。現実に阪神淡路大震災のときは、遺族の方々から「遺体がトラックで運ばれると思っていたが、霊柩車が来てくれて嬉しかった」という声をたくさん聞いたという。遺体を運ぶ仕事は尊く、残された人たちの故人への思いも運ぶ大切な仕事と言えよう。
また、柴山専務理事は個人的な意見としながらも、「葬儀の簡素化など、亡くなった方に対する気持ちがずいぶん変わってきているのが残念です。生きてきた証を知らせるのは残された人間の役割なんです。そこに関わっていくクルマだから、なくなってはいけない仕事だと思います」と語った。
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