霊柩車の基礎知識---お盆特集:ご先祖様を送ったクルマ

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★宮型霊柩車のルーツとデザインの変遷

霊柩車といえば御輿を乗せたような宮型霊柩車がおなじみだが、そのルーツは「輿」というもの。唐揚破風の屋根を持つ輿に棺を納めて、御輿のように担いで運んだ。その後、輿を大八車に乗せた「棺車」が出てきて、より移動しやすくなった。さらに東京、大阪、名古屋、金沢などの大都市では、火葬場の集約や都市化などから、より長い距離を移動する必要が出てきた。そこで大正5〜6年頃に、輿を車に乗せたような宮型霊級車の原型が誕生した。

宮型霊柩車は、主に関東型、名古屋型、関西型がある。関東型はピックアップに宮型部分を乗せたような形で、広く全国で活躍している。名古屋型は最も伝統的な形を残しており、宮型部分がクルマのほぼフレームから立ち上がっているのが特徴だ。関西型は国産檜の白木作りで、一切塗装をしていない。

こうした霊柩車は、主に専門のコーチビルダーが製作する。その他、改造屋なども若干参入しているという。自動車ファンに身近なところでは、光岡自動車でも霊柩車の製作に携わっているそうだ。洋型については、ほとんどが霊柩車仕様の車を輸入する形になっている。

宮型霊柩車特有のデザインは、製作する各社で若干の意匠は考えているが、名古屋、関西型などについては、昔からの意匠を踏襲しているそうだ。ただし東京の場合は若干事情が異なる。かつては名古屋型に近かったが、昭和40年代に米津工房(倒産して今はない)という会社が、現在「関東型」と呼ばれているタイプの霊柩車の意匠を創りだした。米津工房のシェアは7〜8割と大きかったため、それが全国に普及した。そのため現在も多くの社が米津工房の意匠をベースにしているという。

宮型霊柩車のベースとなるクルマは、クラウンなど大型の乗用車。昔はシャシーの強度計算をすればよかったが、最近はモノコック構造の車が増えてきており、強度計算が難しくなってきたという。モノコック構造のベース車両をカットした場合の強度計算書を発行する自動車メーカーもあるようだ。重量が重くなりがちな名古屋型、関西型は、今もトラックをベースにする場合が多いという。

タクシーと黒塗りのハイヤーでは格が違うように、霊柩車も装飾の豪華さにより格の違いがありそうだが、業界では装飾によるクラス分けは特に意識していないという。実際に宮型霊柩車と洋型霊柩車では、宮型の方が豪華で高価そうだが、運賃に差はない。最近は宗教色が薄い傾向になってきており、装飾の豪華さにこだわる人も少ない傾向にあるそうだ。

また、宗教色の薄れと連動するかのように、都市部を中心として洋型霊柩車が増えてきているのが最近の傾向だ。10年−15年スパンで考えると、宮型と洋型の比率が逆転する可能性もあるという。しかし、業界としては、伝統のある宮型霊柩車をなくしたくないのが正直な気持ちのようだ。「宮型には歴史があるので、地方などでは宮型指向が強い」、「霊柩車として一目で分かる形でありたい」というのが、その主な理由だ。

★貨物自動車だが尊厳を損なわず
★宮型霊柩車のルーツとデザインの変遷
★霊柩車の運転手になるには
★霊柩自動車運送業界の未来

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