【トヨタ ハリアー/クルーガーハイブリッド×創った人】 その3 シームレスな加速感こそが独自のアイコン…岡根幸宏チーフエンジニア

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【トヨタ ハリアー/クルーガーハイブリッド×創った人】 その3 シームレスな加速感こそが独自のアイコン…岡根幸宏チーフエンジニア
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「従来のクルマとは一線を画すスムーズかつシームレスな加速性能」を標榜する『ハリアー/クルーガー・ハイブリッド』。アップダウンのきつい箱根の試乗路を実際に走らせてみると、フィールはまさにその謳い文句どおりである。

通常走行からアクセルを全開にすると、タコメーター代わりに装着されたパワーメーターの指針は、簡単に200kWを指す。そのさいの加速はまさに継ぎ目のまったくないシームレスなものだ。加速G自体も非常に大きいが、速度域によるトルク変動が小さいため、高回転になるにつれてパワー感が高まっていく通常のエンジン+トランスミッションに比べると、体感的な加速Gは意外なほどおとなしめだ。

チーフエンジニアの岡根幸宏さんはこの加速フィールこそが、ハリアー/クルーガー・ハイブリッド独自の世界なのだという。

「今までのようにエンジン音や加速Gが変移しない、航空機の離陸時のような加速を、ハイブリッド固有のフィールとしてセールスポイントのひとつにしたいし、また必ず受け入れられると思っています。とくにストップ&ゴーの多い都市部では、この加速感になじむと病みつきになりますよ」

ハリアー/クルーガー・ハイブリッドは後輪モーターによるE-Four(電気式4WD)、パワーステアリング、ブレーキを統合制御し、VSC(車両安定装置)、TRC(トラクションコントロール)、ABSの機能を大幅に向上させるVDIMを採用し、操縦性、走行安定性を大幅に向上させている。これらの恩恵は、ワインディングロードを多少飛ばしたくらいでは体感できないが、重量級SUVを安心して走らせるためには非常に重要なデバイスなのだという。

「軽量な非ハイブリッドモデルと比べても、操縦安定性はハイブリッドのほうが上です。Sパッケージなら、欧州メーカーのハイパワーSUVにも勝てると思っています」

これだけのパワーを持ちながら、ハリアー/クルーガー・ハイブリッドは燃費性能も非常に優れている。モニターには燃費やエネルギー回生などの情報が表示されるが、ワインディングで加減速を相当繰り返したときでも燃費は5km/リットル前後。エネルギー回生に気を配りながら平地をおとなしく走れば、10km/リットル台後半を出すこともじゅうぶん可能だ。

「平成22年度燃費基準+5%はもちろん達成しています。10・15モード燃費17.8km/リットルというのは、じつは平成22年度燃費基準+100%なんですが」

ハリアー・ハイブリッドは日本だけでなく、アメリカでも販売される。アメリカでは原油価格の高騰でガソリン価格も上昇しており、燃費への関心が急速に高まっている。この時期のハイブリッドモデル投入は、じつにタイムリーなものだ。

自動車業界にはアメリカでのハイブリッドブームについて「本来はアメリカ人は燃費は気にしない。燃料高騰の影響による一過性のもの」(国内メーカー首脳)と見る向きも少なくない。が、岡根さんはそうした観測を一蹴する。

「ブッシュ政権が京都議定書から離脱し、CO2排出量も世界でダントツというアメリカは環境問題に無関心というイメージを持たれがちですが、じつはそれは大きな間違いです。カリフォルニア州は世界でもいち早く排ガス規制を敷き、規制値もつねに世界のトップレベルです。燃費についてもCAFEという燃費規制を、世界に先がけて導入したことがありました。あのときは“GMにとっていいことはアメリカにとっていいこと”といった考えがまかり通っていたために骨抜きになってしまいましたが、燃費への関心もじつは昔から高かったんです。ハイブリッドカーに対するアメリカのユーザーの熱気に触れると、彼らが昨今の原油高騰をきっかけに、ついに燃費に本格的に目覚めたということをひしひしと感じます」

圧倒的な動力性能と省燃費性を両立させたハイブリッドSUV、ハリアー/クルーガー・ハイブリッド。運動エネルギーの回生は最大で20%ほどにまで高められており、「回収しやすい部分はほぼ手を打った。ハリアー/クルーガー・ハイブリッドは性能的に、当面ハイブリッドカーのベンチマークとなる自信がある」という。スターティングプライスが400万円前後と、決して安くはないモデルだが、そのプレミアム性をユーザーに訴求できるか。岡根さんは「大いに自信があります」と明るく笑った。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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