過労運転は会社命令…労働局が経営者らを書類送検

自動車 社会 社会

勤務する運転手に対して過重な時間外労働を命じ、これに従った運転手が過労を原因とする重大事故を起こしたとして、厚生労働省・福岡労働局は7日、福岡県福岡市内の運送会社の社長と運行管理者を労働基準法違反容疑で書類送検した。

厚生労働省・福岡労働局によると、労働基準法違反容疑で書類送検されたのは、福岡市東区内にある運送会社を経営する39歳の男と、この会社で営業運行管理部長(運行管理者)として勤務する33歳の男の2人。

問題の事故は、2004年8月7日に発生している。

同日の午前6時ごろ、兵庫県赤穂市木津付近の山陽自動車道上り線・高山トンネル(全長1378m)の内部で、走行車線でパンクしたタイヤの交換作業を行っていたクルマに、後続の大型トラックが減速しないで激突した。

この事故によって直撃された3台のクルマが大破。最後部のクルマに乗車していた幼児3人含む5人が死亡している。さらにはこのクルマが炎上し、事故当時にトンネル内で足止めされた他のクルマの運転手など9人が軽傷を負っている。

その後の調べで、事故を起こした運転手が勤務していた運送会社の会社の社長と運行管理者の2人に対し、体調不良を訴えていたことを供述した。しかし、2人は仕事を優先するように指示。運転手に福岡−神戸間の運行を命じていた

トラックを運転していた31歳の男(当時)は、業務上過失致死傷と道路交通法違反(過労運転)で逮捕・起訴されたが、事故当時は居眠り状態だったことが判明。

事故当日は風邪をこじらせて体調を悪化させていたが、勤務する運送会社から神戸までの輸送を指示され、これを断れるような状態ではなかったと供述した。

さらに調べを進めたところ、この運転手は事故の1カ月前にあたる7月6日から事故当日までの間、実に145時間の時間外労働をしていたことが発覚した。1日あたり10時間に達していた日もあり、文字通り「寝る暇すらない」状態で働いていた。

労働局では「実質的に会社の指示があった」と判断。運送会社の経営者と運行管理者を労働基準法違反容疑で書類送検することを決めた。

この2人については、道路交通法違反(過労運転容認・下命)でも罰金30万円の略式命令を昨年9月に受けている。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

教えて!はじめてEV

特集