『K1200GT』は大きなカウルに290kgという整備重量。このお膳立てだけで躊躇してしまいそうだが、跨ってしまえばそれほど意識させられることはない。むしろ気になるのは、ちょっと遠く感じるハンドルくらい。
ただ、それにしたって高速域でのウインドプロテクション(風防効果)を高めるための策。ライダーに若干ながらも上体を前傾させるようなポジションを促したいからだ。
スポーツツアラーを名乗るだけあって、高速域での安定性はすこぶる高い。シリーズでも1、2を争うほどの性能だ。精神的な余裕を生み出すことは、結果的に安全なライディングにも貢献するだけに、ここは大切なポイント。
高いのは快適性だけじゃない。ワインディングを得意とするのもK1200GTの大きな特徴だ。一般的にツアラーと呼ばれるバイクは、快適性を重視したソフトなサスペンションに加えて、ルーズになりがちな安楽なポジションでまとめられることが多い。そこにもBMWはメスを入れている。
軽い前傾姿勢を保ちやすい位置にステップを配置。引き締められたサスペンションには、サーボ(倍力装置)付き前後連動ABSブレーキを組み合わせている。バイクはブレーキング時に姿勢を乱しやすい乗り物。それだけに、安定した制動力が得られる強力なブレーキは、ロングランが多くなるスポーツツアラーには必要不可欠な装備だ。
いかにして高い高速安定性を保ったまま、安全かつ快適に移動することができるのか。このことを第一に考えたバイク作りがBMWの得意とすることこであり、そのひとつの答えがK1200GTといってもいいだろう。