大きくてがっしりとした、いわゆるツーリングバイクとしての評価が高かったBMW。反面、その重厚な雰囲気が取っ付きにくさとなっていたことも事実。「このままではいけない」と本気で考えたBMWの答えが、この『スカーバー』だ。
気軽に乗ることを大前提にしたモデルなので、排気量も小さく650cc。また車重を軽く仕上げるため、部品点数の多くなる複数シリンダーを嫌った結果、BMW唯一の単気筒エンジンを搭載することになった。
「バイクという乗り物に対してライフスタイルを含めた新しい提案をしたのが『F650CS Scaver』」(BMW2輪商品企画・武藤昇さん)のコメントにもあるように、“バイクとともにある生活”を積極的に広めていくことがスカーバークラスの存在意義だ。
シティコミューターとしてのバイクの役割。これはとても大きい。欧州であっても、もちろん日本国内であっても同じことがいえる。そこで活躍するバイクにとって、いったい何が必要なのか。
「スタイルはとても重要です。思わず所有したくなる、そんなデザインを目指しました」(武藤さん)。昆虫を思わせるヘッドライトに軽快感溢れるサイドシルエット。じゅうぶんにフォトジェニックなのだが、BMWはそれだけに留まらなかった。
その象徴がガソリンタンク。シート前の定位置からシート下に移動させることで、タンク部分に大きな空洞を作った。専用に用意されたバックを装着するもよし、ヘルメット置き場とするのもよし。センスのよいデザインと高い実用性。この両立こそが、新しいバイクライフを生み出すのかもしれない。(つづく)